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土地8億円の相続対策① 業者任せのアパート経営の有効性

今回は、土地8億円の相続対策として、サブリース契約によるアパート経営と、その具体的な効果を検証します。※本連載は、相続専門税理士、田中誠氏の著書、『お金持ちのための モメる相続 モメない相続』(実務教育出版)の中から一部を抜粋し、地主の相続対策の成功のポイントを、具体例を挙げながらクイズ形式で解説します。

アパート建築による相続税の節税を検討

山田家の相続事情

博之さんは、長男と長女の二人の子どもがいます。長男は自宅に同居。長女は結婚して家を出ています。自分が死んだ後、総資産9億5000万円の節税対策に頭を悩ませています。

 

 方法1  業者任せでアパートを経営する

 

山田さんは、所有している土地にアパートを建てることに決めました。テレビのCMで、アパート建築が相続税の節税対策になるということを目にしたからです。

 

そんな折、山田さんのメインバンクで相続セミナーが開催されることを知りました。

 

セミナーでは、所有している土地にアパートを建て、貸家建付地とすることで土地の評価を下げ、相続税が節税できることを学びました。

 

アパートを建てるためには通常、土地を担保に銀行から融資を受ける必要があります。ただ、相続税を下げることはできても、入居者が少なければ、家賃収入を納税資金にするどころか、ローンを返済することすらできなくなってしまいます。

 

すでに年金生活に入っている山田さんには、赤字を補填する余裕はありません。山田さんが契約を迷っていると、不動産会社の担当者が優しく語りかけてきました。

 

「入居者のご心配は無用です。足りない分は、当社がすべて保証いたしますから。オーナー様には、確実に家賃収入を得ていただけます」

 

「それならメリットばかりだ」と考えた山田さんは、すぐに契約して自分の土地にアパートを一気に5棟建てることを決めました。

サブリース契約で「定期的な家賃収入」が実現!?

貸家建付地として土地の評価を下げることで、8億円の土地の評価が借地権割合60%で、6億5600万円の評価額となります。建物を建築するために5億円のアパートローンを受け、5億円の債務控除が適用できます。建物の評価額は、貸家の評価減で2億1000万円まで下げることができました。自宅は小規模宅地等の特例を活用します。

 

一連の節税対策によって、課税される相続財産は4億2120万円になりました。相続税は、1億3554万円となります。「預貯金とこれから入る家賃収入で、何とか納税資金を確保できる」と、山田さんはホッとしました。

 

新築されたアパートは、ほとんど入居者が入っていないようでしたが、山田さんは不動産会社とサブリース契約を結んでいたので、家賃収入は定期的に入っていました。

 

サブリース契約とは、自分の物件をサブリースを行う不動産会社に貸して、不動産会社がその物件の管理運営を行うという契約です。賃貸経営は空室が出てしまうことが最大のリスクですが、サブリース契約を不動産会社と結べば、満室状態の家賃収入を得ることができます。その代わりに、サブリースの運営費用として満室想定家賃の10%から15%を不動産会社に支払う必要があります。

 

山田さんは、アパートを建築するときに不動産会社から「サブリース契約をすれば、アパート経営は何もしなくて大丈夫です」と聞かされていました。家賃の10%から15%というコストだけ見ていたのですが、思わぬ自体が発生してしまったのです。

不動産会社から家賃の値下げを通告され・・・

アパートを建築してから2年後、問題は起こりました。突然、不動産会社の方から、サブリース契約を更新しない連絡が入ったのです。

 

山田さんが不動産会社に問い正すと、契約はもともと2年更新とのことでした。この2年間、入居者の募集に力を注いできたものの、ほとんど入居者が埋まらず、契約を更新することは難しい、とのことでした。「契約を更新したいのであれば、家賃を現在から30%安くしてほしい」とのこと。

 

後から同じようなアパート経営を行なっている友人の起業家に聞いてみると、サブリース契約をしている場合でも空室率が高い物件ではよくあることだとのこと。そういえば、つい先日もサブリースを行なっていた不動産会社の経営が悪化して、オーナーに対してサブリース賃料の支払い停止を申し立てたというニュースがありました。山田さんは契約違反ではないかと思い、知り合いの弁護士に相談して見ましたが、サブリース契約で不動産会社がサブリース賃料を下げるのは法律的に認められているそうです。不動産会社に言われるがままにサブリース契約をしてしまいましたが、山田さんはよく調べずに契約してしまったことに気がつきました。

 

毎月のローンを返済するためには、自分でお金を補填し続けなければいけません。しかし、契約を更新できなければ、自分で賃貸経営をしなければならなくなります。

 

こうして、山田さんは不動産会社のサブリース契約を更新しましたが、毎月赤字を自分の預貯金から取り崩し続けています。その預貯金もいよいよ底が尽きそうで、気が気ではないといいます。

 

 選択結果  下 策 

 

節税対策前の相続税は3億7000万円。所有している土地にアパートを建築して、節税対策で、相続税は1億3554万円まで減額できた。しかし、サブリース契約を外され、ローンに苦しむ日々が待っている。


方法1 業者任せでアパートを経営する (本記事) 

方法2 土地活用を考えた経営をする  第7回 

方法3 アパートを自分で経営する   最終回 9月5日掲載予定

税理士法人エクラコンサルティング
株式会社エクラコンサルティング 代表社員
税理士

長野県生まれ。昭和54年横浜国立大学経営学部卒業。平成3年株式会社タクトコンサルティング入社。平成15年税理士法人タクトコンサルティング代表社員に就任。平成23年税理士法人エクラコンサルティング・株式会社エクラコンサルティングを設立。税理士法人タクトコンサルティングで20年にわたり、全国の税理士・会計士との共同案件を実践してきた経験を生かし、現在も同様に相続、譲渡、交換、事業承継、土地活用、M &A等に関する実務および企画研究、講演、執筆等、日本全国で活動している。

著者紹介

連載アパート建築 vs.不動産法人設立…地主のための相続対策のポイント

 

お金持ちのための モメる相続モメない相続

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田中 誠

実務教育出版

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