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地主の一人息子のための相続対策② 場所を変えてアパート建築

今回は、地主の一人息子のための相続対策として、場所を変えてアパート建築する方法と、その具体的な効果を検証します。※本連載は、相続専門税理士、田中誠氏の著書、『お金持ちのための モメる相続 モメない相続』(実務教育出版)の中から一部を抜粋し、地主の相続対策の成功のポイントを、具体例を挙げながらクイズ形式で解説します。

所有している土地を売却し、賃貸需要が高い土地を購入

 

本田家の相続事情

幸子さんには、自宅と土地合わせて2億円、預貯金1000万円の資産があります。この資産に課税される相続税は5260万円。相続人は茂さん1人。子どももいない状態で、どのように節税すればいいのでしょうか?

 

 方法2  場所を変えてアパートを建てる

 

土地にアパートを建てて、土地の評価を下げるという方法は良いのですが、空室リスクを考えると、なるべく賃貸需要が高い場所に建てる方が安全です。

 

そこで、所有している土地を売却し、新たに駅周辺など賃貸需要が高い場所の土地を購入して、そこにアパートやマンションを建て、資産を組み換えるという方法があります。つまり、土地のバリューアップを図るのです。

 

たとえば、駅からほど近い土地を購入するのであれば、住みやすいし、便利なので賃貸需要もある程度高いことが予想できます。何よりも路線価が高いため、貸家建付地とすると、節税効果も非常に高くなるのです。

 

相続税の場合、土地の評価は原則的に路線価を基準に計算することが決まっています。

 

[図表]土地の評価額の種類

不動産の評価額においては、特に土地に関して「一物五価」と言われる、一つの土地に対して5つの価格を意味する価格評価があります。土地の価格が分かれているのは、国や地方自治体、売り主や買い主などが、それぞれ違った視点や基準から評価しているためです。

 

「五価」・・・実勢価格、公示価格、基準地価、路線価、固定資産税評価額

 

●実勢価格(時価)

実際に売買などに取引される価格

 

●公示価格(公示地価)

地価公示法に基づき、国土交通省が毎年公表する価格

 

●基準地価(都道府県基準地標準価格)

国土利用計画法に基づき、都道府県知事が毎年公表する価格

 

●路線価(相続税評価額)

市街地などにおいて公衆が通行する道路(路線)の標準地を選び、公示価格や売買実例価格、不動産鑑定士などによる鑑定評価額を参考にして国税庁が毎年発表する価格。これに土地面積をかけて土地の相続税評価額を算出する。評価額は、公示価格の8割が目安。

 

●固定資産税評価額

固定資産税などの税金を計算する基準となる価格のこと。市町村では、土地や家屋について「固定資産課税台帳」に課税価格などを登録している。土地の固定資産税評価額は、公示価格の7割が目安になる。

アパート経営は順調、将来も安定が予測される

路線価は、国税庁によって毎年7月に、土地の公示価格の8割程度の価格として発表されます。土地の価格は、一般的に次の3つの観点から総合的に決定されます。

 

①その不動産の収益性

②その不動産の効用

③その不動産に対する受給バランス

 

①は、「その不動産を活用することで何が得られるか」ということです。具体的には建物を貸して賃料を得る、などですね。

 

②は、「他の不動産と比べ、その不動産の価値が高いか低いか」ということです。

 

③は、「その不動産をほしい人がいるか」ということです。ほしい人(需要)が多ければ多いほど、価格に影響します。最近ではインバウンド需要によって、ホテル用地が高値で取引されているケースも目立ちます。駅から近くなくても、観光地としての評価が高い、つまり観光資源に近い場所であれば、土地の需要も高くなります。

この3つの原則に従えば、「駅から近く、生活に便利で、その土地を買いたいと思っている人が多いかどうか」が土地の価格に大きな影響を与えます。一般的には駅から近い土地の方が土地の評価額や路線価も高く、小規模宅地評価減の効果も高くなります。

 

幸子さんは、1億5000万円の土地を売却し、新たに駅周辺に土地を購入しました。幸子さんが購入した土地は、入居需要が高いと言われるエリア。そこで新しくアパートを建てれば、賃貸経営も安定すると予測されたからです。銀行から5000万円の融資を受けてアパートを建てました。

 

遺産総額は、幸子さんの預金1000万円と小規模宅地の特例を活用し、評価を下げた自宅1800万円に、貸家建付地の土地1億1185万円、建物が2100万円。ここから借入金の5000万円を差し引いて、課税総額は1億1750万円となりました。これに対する相続税は、8150万円かかります。

 

 選択結果  上 策 

 

所有している土地を売り、駅周辺の土地を新たに購入。そこに5000万円の融資でアパートを建築。相続税は方法②と同じ1745万円だが、アパート経営は順調で、将来も安定が予測される。

税理士法人エクラコンサルティング
株式会社エクラコンサルティング 代表社員
税理士

長野県生まれ。昭和54年横浜国立大学経営学部卒業。平成3年株式会社タクトコンサルティング入社。平成15年税理士法人タクトコンサルティング代表社員に就任。平成23年税理士法人エクラコンサルティング・株式会社エクラコンサルティングを設立。税理士法人タクトコンサルティングで20年にわたり、全国の税理士・会計士との共同案件を実践してきた経験を生かし、現在も同様に相続、譲渡、交換、事業承継、土地活用、M &A等に関する実務および企画研究、講演、執筆等、日本全国で活動している。

著者紹介

連載アパート建築 vs.不動産法人設立…地主のための相続対策のポイント

 

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田中 誠

実務教育出版

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