
前回は、「米ドル建て」の養老保険のポイントについて取り上げました。今回は、法人保険における、50%損金・終身がん保険のメリットについて詳しく見ていきます。
法人保険の場合、解約返戻率が比較的高い
3番目に「終身がん保険」です。「がん保険」と聞くと、個人で加入する医療保険の一つという印象が強いのではないでしょうか。
たとえば、がんと診断されたら診断給付金が100万円支給され、入院したら給付金が日額で2万円支給される・・・といった内容です。個人契約の多くがそうである掛け捨て型の保険であれば、保険料の全額を原則損金として算入できますが、法人保険としてよく使われる終身がん保険は、解約返戻率が比較的高いという特徴があります(図表1)。
[図表1] 終身がん保険のイメージ

従業員の福利厚生や退職金などに活用することも可能
貯蓄性の高い終身がん保険の保険料については、平成24年4月26日までに締結された契
約は全額を損金に算入できましたが、新しい法令解釈通達が出て、現在は、契約当初の50%の期間を50%損金として処理することになりました。とはいえ、がん保険は医師の診査が必要ないため、加入が比較的簡単です。
がん保険は、従業員の福利厚生にも利用できます。万が一の事態が起こらなかった場合は、解約返戻金を従業員の退職金に充てることも可能です。普遍的加入、規程整備、周知徹底等、福利厚生制度としてがん保険を利用する場合の主な注意点は、養老保険と同じです。また、15人以上などの大人数になれば一括告知、すなわち従業員一人が告知をすれば、それだけで他の従業員の告知が不要となる保険会社もあります。
がんは日本人の死亡原因の不動の1位なので、がんへの備えがしっかりしていることは、社員に大きな安心感を与え、魅力ある会社づくりの土台になるともいえるでしょう。
それでは、メイン2社の商品を、30歳の男性と女性、40歳の男性と女性で比較してみましょう(図表2)。
[図表2]50%損金・終身がん保険の比較イメージ