
前回は、3年満期・50%損金養老保険の「解約返戻率」の比較を確認しました。今回は、50%損金・養老保険の解約返戻率を上昇させる方法を見ていきます。
途中で支払いを中止すると、解約返還率が上昇!?
50%損金として活用される養老保険ですが、前回、期間3年、期間10年を見てきました。しかし、現実として、この養老保険を、期間3年または期間10年、きっちり保険料を払い続ける人はそう多くありません。途中で保険料の支払いを中止するケースが多いのです。
それは、途中で保険料の支払いを中止したほうが、最終的な解約返戻率が上昇するからです。
キャッシュフローが安定し、利益調整もやりやすく・・・
また、通常、保険料の支払いを中止する場合、解約と似た経理処理(洗い替え処理)をし、解約した場合と同様の益金計上が発生しますが、養老保険の場合は、法人税基本通達9-3-7の2にて、その処理が必要ないというルールになっているため、払えるところまで払って、あとは放置するというケースが非常に目立ちます。そのほうが、キャッシュフローも安定しやすく、解約返戻率も上がるのです。
それでは、実際に期間10年の養老保険で、10年間きっちり保険料を支払って10年を迎えた場合と、5年間で支払いを中止して10年目を迎えた場合とで、50歳男性の場合の違いを見てみましょう(図1)。
[図1] 10年満期養老保険において、保険料の支払いを中止した場合のイメージ
これを見てみると、5年目で支払いを中止したほうが、10年間きっちり払い続けるよりも、解約返戻率が若干高くなっています。支払いを中止した後も、自由に解約して資金を回収することができますので、キャッシュフローは安定し、出口の利益調整もしやすくなります。
さらに、1回だけ払って保険料の支払いを中止するパターンも非常に人気です。図2を見てください。30歳男性の例で見てみます。
[図2] 3年満期養老保険において、保険料の支払いを中止した場合のイメージ
1年目の保険料を支払った後、保険料の支払いを中止しています。このケースでは、3年満期時には解約返戻率が、94.5% → 91.4%と下がってしまうものの、90%台と大変高い解約返戻率をキープしています。最終的な解約返戻率が若干下がったとしても、キャッシュフロー重視の法人には使い勝手のよいものということで人気があります。