
前回は、長期平準定期保険の「解約返戻率のピーク」と「保障内容」について取り上げました。今回は、100%損金タイプの逓増定期保険と、100%損金タイプ長期平準定期保険等の比較表を見ていきます。
100%損金算入可能な「逓増定期保険」の加入条件は…
逓増定期保険については、ルール上、満期が45歳以下にならなければいけない契約が100%損金算入可能な契約になります。実際に販売されている保険商品においては、被保険者の年齢が35歳以下で期間45歳までの場合でしか商品が存在しません。
また、被保険者が35歳以下で期間45歳までの逓増定期保険においては、解約返戻率のピークは、4〜7年目に来ることが一般的です。
性別・年齢別…100%損金の保険商品の返戻率比較表
●30歳男性・30歳女性の比較表
それでは、最初に100%損金の逓増定期保険を使える年齢である、30歳男性と30歳女性の比較表を見てみましょう(図表1、2)。なお、年齢については、保険会社、保険商品によっては、誕生日を半年経過すると1歳繰り上がった年齢とみなされて契約条件が決まりますので、その点は注意が必要です。
●40歳男性・40歳女性の比較表
それでは、次に100%損金の長期平準定期保険だけを使える年齢となった40歳男性と40歳女性の比較表を見てみましょう(図表3、4)。
通常、年齢を重ねると、解約返戻率は落ちていきます。30代と比較するとほとんどの会社で解約返戻率が減少傾向になります。しかし、中には歳を重ねても解約返戻率が上昇していく商品があります。これは、主に、「死亡保障変動タイプ」にある傾向です。
●50歳男性・50歳女性の比較表
それでは、次に100%損金の長期平準定期保険だけを使える年齢となった50歳男性と50歳女性の比較表を見てみましょう(図表5、6)。
50歳になってくると、ピーク時の解約返戻率が70%台を記録する商品が増えました。解約返戻率が70%以下となると、税効果がほとんどなくなってしまうため、50歳以上になると要注意です。
●60歳男性・60歳女性の比較表
それでは、次に100%損金の長期平準定期保険だけを使える年齢となった60歳男性と60歳女性の比較表を見てみましょう(図表7、8)。
60代ともなると、解約返戻率が70%台が多くなり、60%台も出てきます。そんな中、「死亡保障変動タイプ」であるJ商品とI商品は、5年目でも10年目でも高い解約返戻率を示しています。この「死亡保障変動タイプ」は、ここ1年で一気に急増した商品ですが、従来から課題であった「55歳以上の100%損金商品の解約返戻率の低さ」は、かなり解消されました。ただし、当局の今後の経理処理の対応等に注意が必要です。
●65歳男性・65歳女性の比較表
最後に、100%損金の長期平準定期保険だけを使える年齢となった65歳男性と65歳女性の比較表を見てみましょう(図表9、10)。
65歳ともなると、加入できる商品が非常に少なくなってきており、G社の死亡保障変動タイプを除いた商品は、いずれも解約返戻率の低下が目立ちます。
なお、これらの図表では、いずれもコミッション率について事例を掲載しました。多くの方が「保険営業担当者って、いったいいくらもらっているのだろう?」と疑問に思っています。昨今では監督官庁の金融庁からも「金融機関は手数料をとりすぎだ」などという発言が出るようになり、より多くの方が保険会社、保険営業担当者の取り分に興味を持っています。
保険営業担当者は、コミッションで食べているため、基本的に「コミッションが高い商品」を売ろうとしてきます。彼らもビジネスマンですので、それは至極当然のことです。しかし、「コミッションが高い商品」が「契約者にとっていいもの」かどうかは別です。昨今、監督官庁がうるさく言うのは、この点が長らく放置されてきた業界だったからに他なりません。そういう背景もしっかり認識し、新商品かつ保険営業担当者の「カモ」にならないように気をつける必要があります。