「3つの借入制度」を利用した、法人保険独自の決算対策とは?

前回は、法人保険の「解約返戻金」の活用法として、分割契約で出口を調整するスキームを取り上げました。今回は、法人保険独自の決算対策として「3つの借入制度」を利用する方法を見ていきます。

書類を提出後、2〜3営業日で着金可能な「契約者貸付」

これまで、100%損金商品、50%損金商品をはじめ、出口戦略に至るまで、多くのパターンを見てきました。しかし、実は法人保険にはもう一つ知っておきたい制度があります。それが、法人保険独自の借入制度です。

 

法人保険独自の借入制度は三つあります。一つめが「契約者貸付」、二つめが「自動振替貸付」、三つめが「保険料ローン」です。

 

まず一つめの契約者貸付です。契約者貸付は、「解約返戻金の70%〜90%の範囲内で保険会社から融資を受けられる制度」です。以下の図表にあるような契約形態で、解約返戻金の90%の範囲内で融資を受けられる場合、1年目は1080万円、3年目は4860万円の融資が受けられます。

 

[図表] 契約者貸付のイメージ

 

 

銀行のように、融資を受けるためにいろいろ言われながら何日もかかることもなく、さらには「融資しますので、代わりに保険か投資信託を買ってください」などと言われることもありません。保険会社に書類を提出すると2〜3営業日で着金するシステムのため、銀行とのバーター取引の心配もなく、いざというときにキャッシュフローを安定させることができます。

 

この資金は使途自由なため、翌年の保険料に充当したり、何らかの設備投資資金や運転資金に活用したり、さまざまなところへ資金を持っていくことができます。

 

注意点は、「金利」と「返済方法」です。融資制度であるため、金利が計上されます。最も低いところで、年2.3%台ですが、おおよそ3.0%前後が多いようです。

 

返済方法は独特で、自由返済となっています。返済しなければ金利がどんどん計上されていき、1年を経過すると利息が元金に組み込まれる仕組みが一般的です。将来的に死亡保険金を受け取ったり、解約返戻金を受け取ったりした際に、相殺されます。

 

仮に、借りっぱなしで、借入金の元金と利息が解約返戻金に到達した場合は、「オーバーローン失効」となり、原則保険契約は消滅します。そのため、保険を生きた状態にしておきたい場合は、金利だけでも支払うことが重要です。

一部の会社が行っている立て替え制度「自動振替貸付」

二つめが「自動振替貸付」です。これは翌年、翌月など、次に迫ってくる保険料の支払いにおいて、保険会社が保険料を立て替えてくれる制度です。これは、「次に迫ってくる保険料を支払ったとした場合の解約返戻金の100%」が融資の枠となっています。自動振替貸付を使えるのであれば、キャッシュフローが厳しいときでも、契約を継続することができます。

 

借入金を使って保険料の支払い=損金づくりができ、手持ちのキャッシュを動かすことなく税金対策が可能です。契約者貸付がほとんどの保険会社で利用可能な制度であるのに対し、自動振替貸付は、一部の保険会社、一部の保険商品でしか利用ができないため、全社・全商品比較においてしっかり確認してきたいところです。

 

また、保険会社によっては、自動振替貸付の利用後、1年未満であれば取り消しが可能で、その間の金利は0円など、金利が実質的に0円になる商品があるため、金利の計上方法についてもしっかり確認する必要があります。

 

最後に「保険料ローン」です。これは、ノンバンクから融資を受ける仕組みです。決算の時に、税引き前所得は膨大だが、決算対策として、税引き前所得を消しこむためのまとまったキャッシュがない場合、保険料ローンが使われます。

 

保険料ローンは、O社やI社など、大手ノンバンクが実施しています。一部、地方銀行などでは、運転資金の名目で、決算対策のための保険料について融資を出しているケースがありますが、一般的に多くの銀行ではルール違反としているため、要注意です。

 

いざ決算対策で保険料を支払って損金づくり! とスタートしても、会社経営では何が起きるかわかりません。売り上げも伸び、キャッシュも潤沢になる会社もあれば、売り上げは伸びたが売掛金が多く、キャッシュがきつく、納税資金に困る会社もあります。

 

そういったさまざまな会社の状況に対応できるのが、法人保険を活用した決算対策です。これは他の決算対策商品ではなかなかない独自の仕組みになります。

幻冬舎総合財産コンサルティング 執行役員

CFP・1級FP 行政書士
鹿児島市出身。1999年鹿児島大学法文学部卒業
大手ノンバンクでの債権回収業務を経て、FP・行政書士の資格を24歳で取得後、税理士事務所、保険専業代理店での保険販売・FPコンサルティング業務に携わる。
保険会社時代には、銀行・証券等の金融機関代理店をはじめ、日本全国の保険代理店の販売サポートに携わり、販路が多い業界の表裏事情に精通。
セミナーでは、他に類をみない、年間1000名以上の参加者が集まり、相談における取扱金額は100億円を超え、依頼は後を絶たない。
保険会社内部事情、営業の現場事情に関係なく、公平・正直に情報を伝えることを心がけている。
宅地建物取引士、証券外務員、貸金業の資格も保有。行政書士として、会社設立や遺言等の官庁法務書類作成もサポート。

著者紹介

連載法人保険の活用術…解約返戻金による節税で手元の資産を残す方法

法人保険で実現する 究極の税金対策 改訂版

法人保険で実現する 究極の税金対策 改訂版

監修 吉永秀史
編著 幻冬舎ゴールドオンライン編集部

幻冬舎メディアコンサルティング

節税、相続対策、会社から個人への資産移転…… 法人保険を使って税金を極限まで減らす方法を徹底解説! 日本の法人課税は諸外国に比べて高い水準にあり、税引き前所得に対して35%程度の実質的な法人税率が課されます。 …

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧