
前回に引き続き、法人保険の「解約返戻金」の使い方について解説していきます。今回は、法人保険の解約返戻金を「海外の中古不動産投資」に活用する方法を見ていきましょう。
4年で減価償却費が計上でき、価値も上昇しやすい
前回の続きです。
⑩海外の中古不動産に投資をする
オペレーティングリース事業同様に人気なのは、海外の中古不動産投資です。日本の税法では、22年以上経過した木造家屋は、たった4年で償却ができる独自のルールがあります。海外の不動産物件でも同様です。
アメリカをはじめとした海外の中古不動産は、日本と違い、時間とともに価値が落ちるどころか上昇することが一般的で、4年で減価償却費が計上できて、価値も上昇しやすいのであれば、必然的に人気が出る投資となります。
[図表] 海外の中古不動産投資のイメージ

上記の図を見てください。仮に、5000万円の海外の中古不動産に投資をして、その物件が築30年の木造で、建物部分が4500万円だった場合、建物部分4500万円については、4年で減価償却できますので、初年度に1125万円の損金づくりが可能です。
不動産に投資しているため、家賃収入が期待できます。賃貸管理や現地での納税の義務などの手間が付随してきますが、日本では、築年数が古いと価値自体が落ちていくことが一般的なため、日本の不動産活用は出口で困難を極めており、多くの投資家が海外に目を向けるようになっています。
多くの需要を生むこの制度が、今後どうなるかに注目を
しかし、平成28年の年末頃、こういった海外の中古不動産を活用した税金対策について会計検査院が指摘した経緯があり、今後この制度がどうなるかが注目です。特に、このスキームは、金融系、商社系、官僚系、医師系などの高額所得サラリーマンが、個人所得税の節税目的で活用しているため、より多くの需要を生んでいます。
当然ですが、海外の不動産となると、為替リスクの問題、税務の問題、管理の問題など、日本とは違う不動産のルールや慣習があるため、注意が必要です。