退職金、設備投資・・・法人保険の「解約返戻金」の活用法①

前回は、法人保険の加入前に知っておきたい「出口戦略」の立て方について取り上げました。今回は、法人保険の「解約返戻金」の活用法について詳しく解説していきます。

最もメジャーな使い方は、経営者の「勇退退職金」

前回の続きです。

 

③経営者への勇退退職金として支給する

 

法人保険の解約返戻金の使い方で最もメジャーなものといえば、経営者の勇退退職金でしょう。勇退退職金の支払い方法は2通りあります。

 

一つは、解約返戻金のピーク時に保険を解約して、いったん会社で解約返戻金を受け取り、その後、退職する経営者に支払うという方法です。

 

解約返戻金を会社が受け取るときには、解約返戻金からそれまで資産に計上した保険料額を引いた額が益金計上され、赤字等で相殺できない限り法人税等の対象となります。しかし、解約の同期内で経営者に退職金を支払うと、益金と費用が相殺され、法人税等の負担増加の可能性が抑えられるのです。

 

もう一つ、保険契約の名義を変える方法もあります。たとえば、解約返戻金相当額が1億円の保険の名義を法人から経営者個人に変えて、1億円の勇退退職金を支払ったことにするのです。これを保険の現物支給といいます。

 

法人の損益、個人の退職所得に対する税金の計算上は、先ほどの方法と一緒ですが、保険契約自体が解約されず残るという違いがあります。通常、この場合は、図にあるように、名義変更後に、「払い済み」という手続きを行い、解約返戻金1億円を原資にして、終身保険に切り替え、一生涯保有できるようにしておきます。

 

将来的に経営者に万が一の事態が起これば遺族が保障を受けられますし、毎年200万円ずつなどと部分的に解約すれば、年金のように定期的な収入を得ることもできます。退職後すぐにまとまったお金を必要としないのであれば、そのまま保有を続けることもできます。

 

[図表] 退職金の現物支給の仕組みと払い済み保険への変更の仕組み(イメージ)

社用車、医療機器などの設備投資に使うのも有効

④事業設備に投資して、減価償却制度等を活用する

 

会社の設備投資に解約返戻金を使うのも、有効な方法です。具体的には、社屋の壁の張り替えをする、社用車を買い替えるといった使い道が考えられます。医療法人であれば、医療機器を買うといったこともよく行われています。医療機器等は、特例で、多めに減価償却できることが多いため、1年で設備投資額の半額〜全額に近い損金を算入することもできます。

幻冬舎総合財産コンサルティング 執行役員

CFP・1級FP 行政書士
鹿児島市出身。1999年鹿児島大学法文学部卒業
大手ノンバンクでの債権回収業務を経て、FP・行政書士の資格を24歳で取得後、税理士事務所、保険専業代理店での保険販売・FPコンサルティング業務に携わる。
保険会社時代には、銀行・証券等の金融機関代理店をはじめ、日本全国の保険代理店の販売サポートに携わり、販路が多い業界の表裏事情に精通。
セミナーでは、他に類をみない、年間1000名以上の参加者が集まり、相談における取扱金額は100億円を超え、依頼は後を絶たない。
保険会社内部事情、営業の現場事情に関係なく、公平・正直に情報を伝えることを心がけている。
宅地建物取引士、証券外務員、貸金業の資格も保有。行政書士として、会社設立や遺言等の官庁法務書類作成もサポート。

著者紹介

連載法人保険の活用術…解約返戻金による節税で手元の資産を残す方法

法人保険で実現する 究極の税金対策 改訂版

法人保険で実現する 究極の税金対策 改訂版

監修 吉永秀史
編著 幻冬舎ゴールドオンライン編集部

幻冬舎メディアコンサルティング

節税、相続対策、会社から個人への資産移転…… 法人保険を使って税金を極限まで減らす方法を徹底解説! 日本の法人課税は諸外国に比べて高い水準にあり、税引き前所得に対して35%程度の実質的な法人税率が課されます。 …

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