
前回は、100%損金の保険商品の「長期平準定期保険」と「逓増定期保険」の概要を解説しました。今回は、長期平準定期保険の「解約返戻率のピーク」と「保障内容」を見ていきます。
「5年ピーク商品」と「10年ピーク商品」
長期平準定期保険は、主に「5年目付近の解約返戻率が高い商品」と「10年目の解約返戻率が高い商品」に分けられます。それぞれ業界では「5年ピーク商品」「10年ピーク商品」とも呼ばれます。
どんな大企業でも、よく「5年先はわからない」といいます。そのため、法人保険の活用においては、まずは5年ピークを検討する場合が大半です。
ただし、5年ピークの商品は少ないのが現状です。ほとんどの商品が10年目ピークとなっており、法人にとっては、拘束感のある商品が多いということがわかります。また、昨今急増した100%損金商品は、大半が10年ピークであるため、新商品だからといって安易に契約してしまうと、思わぬキャッシュフローの悪化が訪れたときに大変です。
死亡保障変動タイプは高齢でも一定額まで健康診断不要
また長期平準定期保険タイプは、次のように、各商品で保障内容にばらつきがあります。
●死亡保障一定タイプ・・・死亡時に一定額が保障されるもの
●死亡保障変動タイプ・・・当初の10年間は災害死亡保障のみで、11年目以降は災害死亡+病気死亡も保障されるもの
●生活障害保障タイプ・・・死亡または障害状態(介護状態)で保障されるもの
●三大疾病タイプ・・・がん、脳卒中、心筋梗塞で保障されるもの
●介護保障タイプ・・・一定の介護状態のみで保障されるもの
このうち、2番目の死亡保障変動タイプがここ1年で最も多く発売された商品のタイプです。10年ピークですが、高齢でも、一定額までは、契約時の健康診断なく加入できる商品として人気です。
ただし、死亡保障が10年後に実質的に逓増するため、実質、逓増定期保険に近い保険であり、経理処理については、長期平準定期保険のルールを採用するのか、逓増定期保険のルールを採用するのか、これには諸説あり、国内生保大手のN生命は管轄の国税局に確認をとるところまで行きました。
なお、後発組の生命保険会社の中には確認をとらずに販売しているところもあるため、営業現場も一部不安になっており、今後この処理がどうなるか、注目されています。