
前回は、不動産投資において有名大家の成功話は賞味期限期限切れであることを紹介しました。今回は、地方物件が「出口なし」と言われる理由を解説します。
不動産投資は「持ち続ける」「売却する」の二択だが…
出口というのは、最終的にその不動産を売却することです。
不動産投資には、「持ち続ける」か「売却する」の二択があり、具体的には以下のようなものがあります。
①持ち続ける場合
大規模修繕・リノベーション
建替え
②売却する場合
オーナーチェンジ
更地にする
①の持ち続ける場合、物件は老朽化してきますから、メンテナンスを施す必要があります。外回りでいえば、外壁塗装・屋上防水といったものが代表的な工事です。
そのほか、エアコンや換気扇、インターフォンといった電気設備は10年程度で交換が必要になりますし、共有部で使用されている給水ポンプやエレベーターなども交換費用は高く付きます。キッチン・バスルーム・洗面所といった水回りは10年以上持ちますが、何十年も経てば、壊れないにしても機能が古くなり、物件としての競争力が落ちます。
また、給水・給湯の配管については、その材質によって耐用年数が変わりますが、金属系であれば15~25年程度で、管の内部にかなりのサビが見られると言われています。
建替えについていえば、大規模修繕やリノベーションに比べ多くの手間と多額の費用がかかります。老朽化が進んで人が住める状態でないとしても、そこに入居者がいれば簡単に退去してもらうことはできません。
大家より、入居者の権利が強い「借地借家法」
なぜならば入居者と結ぶ普通賃貸借契約は、よっぽどの事情がなければ契約を解除することができないからです。普通賃貸借契約は、建物を賃貸して住居とするために「借主(入居者)」と「貸主(大家さん)」で取り交わす契約のことです。
この契約は「借地借家法」に基づいているのですが、この法律が制定された背景には土地や建物の賃貸借契約における借主の保護があります。簡単にいえば、大家さんよりも入居者のほうが圧倒的に権利が強く、守られているのです。
というのも、この法律が制定されたのは大正時代なのです。当時は地主の力が強く、家を借りる人の立場は非常に弱いものでした。そのため借地や借家を借りる人の権利を守るために生まれた法律なのです。