「バブル状態か否か」を見極める4つの基準とは?

今回は、「バブル」についての解説と、現状が「バブル状態か否か」を見極め、危険を回避する著者流の4つのルールを紹介します。※本連載は、わかりやすい経済解説で知られる久留米大学商学部教授・塚崎公義氏の著書、『経済暴論』(河出書房新社)の中から一部を抜粋し、普段なかなか報道されない、日本の景気と財政の実態について解説します。

現代の「バブル」は、誰も気づかないまま膨らんでいく

バブルというと、株や土地の値段が猛烈に高くなり、「誰が見ても高すぎるが、明日は今日よりさらに値上がりするだろうから、今日買って明日売ろう」と考える強欲な愚か者たちが競っている状況を思い浮かべませんか?実際、過去のオランダでは、過剰な投資熱からチューリップの球根1個が現在の貨幣価値で数千万円まで値上がりした、ともいわれています。しかし、そうしたバブルは過去のものです。今日、そうしたバブルが発生したら、政府や日銀が早期に「バブル潰し」をするでしょうから、そうしたバブルは大きく育つことはないのです。

 

現代のバブルは、そうではなく、誰もバブルだと気づかないまま成長していくのです。たとえば日本の1980年代後半のバブルは、「日本経済は世界一だ。21世紀は日本の時代だ。株価や地価が値上がりするのは当然だ。いままでが安すぎたのだ」と考えている人が多かったわけです。当時は、日本経済を動かしていた賢い人々のなかにも、自宅を購入した人が大勢いました。バブルだとわかっていたら、自宅を購入するはずはありませんよね。バブルが崩壊して地価が暴落してからゆっくり買えばいいのですから。つまり、当時は賢い人々もバブルだと思っていなかったのです。

 

そうなると、政府のバブル潰しは困難です。仮に「バブルかもしれないから、早めに潰しておこう」と思っても、バブルのときは人々がハッピーですから、「健全な好況と株価上昇を邪魔するのか?バブルだという証拠を示せ」といわれて、抵抗されてしまうからです。

 

そんなとき、本当ならば銀行がバブルを止めることが期待されます。バブルかもしれないが、バブルでないかもしれないというとき、銀行には「借金して土地を買いたい」という申し込みが多くきます。

 

銀行としては、「もしも現状がバブルでないとすれば、貸出金は無事に回収できて、銀行は金利収入を得るだろう。多くの利益は土地を高値で売った借り手が得るだろう」「もしも現状がバブルであったとすれば、貸出金が回収できずに銀行は元本を失うだろう」という立場に置かれるわけです。

 

「バブルでなければ借り手の勝ち、バブルなら銀行の負け」というわけです。

 

それがわかっていれば、銀行は貸さないはずです。貸さなければ、バブルかもしれないリスクの芽が早めに摘めるのです。「バブルか否か疑わしく、政府や日銀が予防のためにバブルを潰そうとして苦労しているときに、バブルを潰せるのは銀行だけ」なのです。

 

最近の貸し家建設ラッシュも、バブルかもしれないといわれています。不動産価格が値上がりしているわけではありませんが、「正しい不動産価格が貸し家の乱立で下がっていて、正しい価格と実際の価格の差が広がっている」と考える人が多いからです。それでも銀行が積極的に融資を続けているのは、残念なことです。もしかすると、「貸し倒れが発生する前に自分が異動するから、大丈夫」と銀行員の皆が思っていたりして・・・(笑)。

 

「投資に興味がなかった人」まで投資を始めたら要注意

さて、バブルは繰り返します。日本のバブルの後で、米国のITバブルが発生し、その数年後には同じ米国で住宅バブル(リーマン・ショックの原因)が発生しました。ということは、再び発生する可能性が高いでしょう。そのときに損をしないために、何に気をつけたらよいでしょうか?前述のように、バブルであるか否かを知ることは、賢い人でも難しいのですが、筆者は4つの基準を設けていて、4つが当てはまるときは「バブルかもしれないので手を出さない」という自分流のルールを決めています。

 

(1)バブルかもしれないと心配する人がいて、「大丈夫だ」という「理論」が登場する。「日本経済は世界一なのだから、地価や株価が高いのは当然だ」等々。

 

(2)景気が良いのに金融が緩和されている。日本のバブル期には、プラザ合意後の円高で物価が安定していたため、日銀の金融引き締めが行なわれていませんでした。

 

(3)いままで投資に興味がなかった人々が一斉に投資を始める。奥さんが「隣の奥さんでも株で儲かったのだから、私でも儲けられそう」と言い始めたら、ご主人は株を売りましょうね(笑)。

 

(4)海外では、「日本はバブルらしい」と考える人が日本国内よりはるかに多い。当事者は気分が高揚しているからバブルであることに気づきにくいということでしょう。

 

以上の4条件が、バブルを見分ける精度は不明ですが、ある程度の役には立つと思います。

 

[図表]

久留米大学商学部 教授

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。
著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。
趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

連載メディアが伝えない「景気と財政」の実態

 

企画・編集:株式会社夢の設計社

 

経済暴論

経済暴論

塚崎 公義

河出書房新社

「トランプ大統領は日本経済にとってプラス」「勤勉と倹約が不況を長引かせる」…経済の話を“極論と暴論”で面白がりながら学ぶ本! 教科書はもちろんのことニュースや新聞でも知ることができない“経済の裏のウラの真実”と…

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