
前回は、法人保険のMHPスキームの「法人から法人へ資産移転したあとに個人へ移転する」方法を解説しました。今回は、MHPスキームと並んで多く活用される「GHTスキーム」について見ていきます。
指定した個人へ、保険会社からダイレクトに資金を移転
MHPスキームと並んで多く活用されているスキームに「GHTスキーム」があります。このスキームでは、MHPスキームのような「保険買い取り(譲渡)」の仕組みはありませんが、指定した個人に、保険会社からダイレクトに資金を移転させることができます。
なお、このスキームは、一般的に「逆ハーフタックスプラン」と呼ばれており、本書席の第2章で説明している「ハーフタックスプラン」の逆バージョンです。なぜ「逆」なのか、その理由は契約形態にあります。
死亡保険金受取人と満期保険金受取人が入れ替わる
第2章で出てきた「養老保険50%損金タイプ」がハーフタックスプランとなりますが、その契約形態は次のとおりでした。
●契約者・・・法人
●被保険者・・・社長、役員、従業員
●死亡保険金受取人・・・社長、役員、従業員の遺族
●満期保険金受取人・・・法人
法人としては、保険料の50%損金算入の税効果をとりつつ、社長等が死亡した場合は、福利厚生として遺族に死亡保険金が支払われ、死亡事故もなく満期を迎えた場合は、法人で回収し、それを勇退退職金等に充てるというスキームでした。これが「逆ハーフタックスプラン」となると、次のような契約形態になります。
●契約者・・・法人
●被保険者・・・社長、役員、従業員
●死亡保険金受取人・・・法人
●満期保険金受取人・・・社長、役員、従業員の遺族
逆ハーフタックスプランの場合、死亡保険金受取人と満期保険金受取人が入れ替わっています。社長等が死亡した場合は、遺族には渡らず法人に渡るようになります。また、社長等に死亡事故が発生しない場合は、満期に個人へ渡ることになります。この仕組みがまさに個人への資産移転の仕組みとなっています。なお、逆ハーフタックスプランにおいては、経理処理のパターンが複数あるため、代表的なものを三つ見ていきます。