
前回は、長く支持される資産移転の方法「MHPスキーム」の概要を取り上げました。今回は、MHPスキームで子どもや孫、役員といった第三者に資産移転する方法を見ていきます。
「3親等内の親族」にまで契約の譲渡が可能
契約名義を後継者、すなわち自身の子どもや孫にして資産移転を図るのも得策です。社長が現役のときは、社長自身が資産をたくさん持っているほうが、自由度があります。しかし、相続・事業承継を考えるべき局面では、社長ではなく後継者が資産を持っていなければ、社長の相続財産による後継者の納税負担を増加させてしまいます。
そのほか、身内以外の役員に資産を移転する場合もあります。後継者となる子どもがいない場合には、長年勤め上げた実力ある第三者が後を継ぐことも多いでしょう。
次の図表を見てください。仮に、社長を被保険者として契約をスタートしたとしても、保険会社によっては、被保険者である社長から見て「3親等内の親族」にまで契約の譲渡が可能となっています。そのため、次の契約形態のように、当初は、社長に譲渡するつもりで契約したものの、計画や考えが変わり、息子さんや甥っ子などに譲渡したいと思った場合でも対応できるのです。
[図表] 経営者以外への譲渡のイメージ

●契約者・・・法人
●被保険者・・・社長
●保険金受取人・・・法人
↓
●契約者・・・社長の息子
●被保険者・・・社長
●保険金受取人・・・社長の息子の遺族
息子さんなど、将来の相続人の予定者への移転であれば、相続税の納税資金として活用してもらうこともできますし、自社株の購入資金などにも充てることができます。大半の法人において、高額な自社株評価に対する相続税の納税資金確保と、誰に事業を承継するかという承継者確保には頭を悩ませています。
引受限度が残っている限り、資産移転は何度でも行える
法人保険を使った資産移転は、保険会社の引受限度が残っている限り、何度でも行うことができます。そのため、毎年活用する社長もたくさんいます。たとえば、4年後に名義変更する保険に毎年1本ずつ加入しておけば、4年目以降は毎年のように税効果をとりつつ、資産を移すことが可能となります。医療法人などでは、子どもが医師になるための原資づくりとして活用されているケースが多いです。