なぜアメリカ不動産投資で「減価償却メリット」が得られるのか?

近年、日本の富裕層がこぞって購入している米国不動産。とりわけテキサスの不動産が人気ですが、その理由は、市場の成長性だけではありません。中古市場が発展している米国ならではの、タックスメリットが存在します。本稿では、その鍵となる「減価償却」についてご説明をします。

最短4年で減価償却が可能に

米国の中古不動産なら大きな減価償却メリットが狙える――近年の日本人投資家による「米国不動産投資ブーム」は、この要素に支えられているといっても過言ではありませんが、なぜ米国不動産投資では大きな減価償却メリットが狙えるのでしょうか。

 

そもそも減価償却とは、時間の経過等により価値が減っていく資産(建物等)が対象となるもの。減価償却資産の取得金額は、①取得したときに全額必要経費にならず、②使用可能な全期間(法定耐用年数)にわたって経費化していきます。

 

ちなみに、建物の減価償却では、償却費の額が原則、毎年同額になるように必要経費化していくのですが(定額法という)、要するに必要経費化できれば、その分所得を減らせる、すなわち税額を抑えることができるというわけです。

 

[PR] 書籍プレゼントあり!無料セミナーを東京(幻冬舎)で開催

減価償却メリットを狙った『テキサス不動産投資』セミナー

 

例えば、自動車と建物では使えなくなってしまうまでの年数が全然違うように、法定耐用年数は、減価償却資産ごとに決まっており、中古の住宅用不動産で木造の建物の場合には、これが22年となっています。しかし、築22年を超えるような中古物件の場合、簡便法を使って償却期間を「4年」にすることができ、これにより、例えば1000万円の建物であれば、毎年250万円ずつ一気に償却、すなわち一気に経費化していくことができるわけです。

建物価値80%以上の物件が多数の米国

もちろん不動産投資の場合、減価償却できるのは建物だけ。何年経っても価値が減らない(マーケット価格は変わりますが)土地は対象外となります。

 

そして日本の場合、築22年を超えるような中古不動産ともなると、取引価格の多くが土地の価値で、建物の価値はほとんど認められません。つまり、いくら築22年を超える物件は4年で一気に経費化できるといっても、そういった物件がそもそもあまり存在しないわけです。

 

ところが、米国不動産の場合は状況が全く異なります。米国では、築古であっても、その建物が住居として問題なく使用できるものであれば、建物にも十分な価値が認められるケースがほとんどです。実際、築30年、40年と経ったような木造不動産の場合でも、取引価格のうち、建物が8割、土地が2割といった物件はザラに存在します。日本国内に居住している人であれば、海外不動産であってもそこから得られる賃貸収入等は、日本でも申告し、納税する必要がありますが、当然、減価償却についても日本の制度に則って行うことになります。つまり、建物割合が大きいという米国不動産の特徴を、タックスメリットとして活用することができるわけです。

外国税額控除を利用して二重課税を回避

ここからは、実際にどれくらいのタックスメリットが得られるのかを見ていきましょう。

 

まず、米国不動産投資ではいつ、どんな税金がかかるのかを整理しておきます。米国不動産投資を行う場合、物件の購入時には税金は発生しません(不動産取引の各種コストは必要です)。

 

したがって、物件の「所有時」「売却時」にかかる税金を把握しておけばよいのですが、日本国内に居住している人の場合、海外の不動産であっても、そこから得られる賃料収入等については日本で申告し、納税する必要があります。

 

つまり、米国不動産の「所有時」には、①米国でかかる税金、②日本でかかる税金、そして「売却時」にも、③米国でかかる税金、④日本でかかる税金があるというわけです。そして具体的にかかる税金をまとめると次のようになります。

 

<所有時>

 

①米国でかかる税金

・固定資産税

・所得税(家賃収入に対して)

 

②日本でかかる税金

・所得税(家賃収入に対して)

 

<売却時>

 

③米国でかかる税金

・キャピタルゲイン課税

保有1年未満 → 短期キャピタルゲイン課税

保有1年以上 → 長期キャピタルゲイン課税

 

④日本でかかる税金

・譲渡所得税

5年以内 → 短期譲渡所得(譲渡所得の39.63%※)

5年超 → 長期譲渡所得(譲渡所得の20.315%※)


 ※譲渡所得税は復興特別所得税を含む。

 

もちろん、税金がかかるのはそれぞれ「黒字」の場合だけです。米国と日本における 収支と納税のイメージは次のようになります。

 

1.米国が赤字で、日本でも赤字の場合 →納税なし

2.米国が赤字で、日本では黒字の場合 →日本でのみ課税

3.米国が黒字で、日本では赤字の場合 →米国でのみ課税

4.米国が黒字で、日本でも黒字の場合 →両国で納税

 

[PR] 書籍プレゼントあり!無料セミナーを東京(幻冬舎)で開催

減価償却メリットを狙った『テキサス不動産投資』セミナー

 

ただし、上記4のケースでは、このままだと二重課税になってしまうため、「外国税額控除」の制度を利用することができます。海外で納税した外国の所得税については、日本で納める所得税から差し引き、残った金額を納税することができるというわけです。

 

たとえば日本での税額が100万円、海外での納税額が80万円であれば、日本での納税額は100万円-80万円=20万円となります。

購入後4年間と5年目以降で変わる税額

米国不動産投資のタックスメリットを知るためのケーススタディとして、以下の条件を設定して考えてみます。

 

・米国の中古物件(木造)を購入

・投資時の為替レートは1ドル=120円

・物件価格10万ドル(建物価値8万ドル、土地価値2万ドル)

・築年数25年

・賃料収入は年間8000ドル(グロス利回り8%)

・諸経費は年間3000ドル(ネット利回り5%)

・10年間保有し、10万ドルで売却

・減価償却はアメリカで27.5年、日本は4年

・所得税率は日米ともに30%

 

まず、不動産保有時の税額のうち、米国サイドは次のようになります。

 

8万ドル(建物価値)÷27.5年(耐用年数)=2900ドル(1年あたり減価償却費)

8000ドル-2900ドル-3000ドル=2100ドル

2100ドル×0.3(税率)=630ドル

 

日本円(1ドル=120円)換算すると・・・630ドル=7万5600円 ①

 

次に、日本サイドにおける不動産保有時の税額を見ていきます。減価償却は4年ですので、「4年目まで」と「5年目以降」の2パターンに分かれます。

 

<4年目まで>

 

960万円(建物価値)÷4年(耐用年数)=240万円(1年あたり減価償却費)

96万円(不動産収入)-240万円-36万円(諸経費)

=▲180万円(課税対象額)→所得税はゼロ

 

さらに▲180万円は、給与所得から差し引くことができます。

 

<5年目以降>

 

96万円(建物価値)-0円(減価償却費。償却済みのため0円)-36万円(諸経費)

=60万円(課税対象額)

 

60万円×0.3(税率)=18万円 ②

 

外国税額控除を適用(②-①)すると、5年目以降は10万4400円の所得税がかかります。

長期譲渡所得に該当すれば税率はダウン

今度は不動産売却時の税額です。こちらも米国サイドと日本サイドでそれぞれ計算します。まずは米国サイドです。

 

<簿価の計算>

 

2900ドル(1年あたり減価償却費)×10年=2万9000ドル(減価償却費の合計)

8万ドル(建物購入価格)-2万9000ドル=5万1000ドル

5万1000ドル+2万ドル(土地簿価)=7万1000ドル(簿価)

 

<キャピタルゲイン税>

 

10万ドル-7万1000ドル=2万9000ドル

2万9000ドル×0.225(税率)=6525ドル

日本円(1ドル=120円)換算すると・・・6525ドル=78万3000円 ①

 

次に日本サイドです。

 

<簿価の計算>

 

0円(建物簿価。償却済みのため0円)+240円(土地簿価)=240万円(簿価)

 

<譲渡所得税>

 

1200万円(10万ドル)-240万円=960万円

960万円×0.2(税率※)=192万円 ②

※10年保有(5年超)のため、長期譲渡所得になる。

 

外国税額控除を適用(②-①)すると、113万7000円の譲渡所得税がかかります。

 

[PR] 書籍プレゼントあり!無料セミナーを東京(幻冬舎)で開催

減価償却メリットを狙った『テキサス不動産投資』セミナー

 

以上を見るとわかるとおり、不動産保有時・日本サイド・4年目までの課税関係がやはりポイントで、大きな償却メリットが得られます。もちろん、これはシミュレーションのひとつですから、実際の申告等にあたっては、日本と米国現地の専門家にしっかりとご相談ください。

リーバンズコーポレーション 会長

1953年生まれ。米国在住35年。カリフォルニア州を拠点に保険・証券・不動産・ファイナンシャルアドバイザーとしてキャリアを積み、2002年、ロサンゼルス郊外のトーランスにリーバンズコーポレーションを設立。豊富な不動産の販売・仲介・管理実績を持ち、米国居住者以外の信託活用法など、不動産保有にかかる関連アドバイスにも強みがある。

著者紹介

リーバンズ・コーポレーション セールス&マーケティング 米国公認会計士(ワシントン州)

横浜国立大学卒。米国公認会計士(ワシントン州)。
大手ゼネコンに入社し、人事を担当。退職後はワシントン州シアトルにてビジネス留学を経て、米国公認会計士(USCPA)の資格を取得。大手監査法人や国内上場会社、外資系企業にて経理・監査業務に従事。日本国内の不動産会社勤務を経て、2017年リーバンズコーポレーションに入社し、現在に至る。セールス&マーケティング担当として、テキサス不動産投資物件を扱う。個人でも投資物件として、米国シアトルに不動産を所有。

著者紹介

連載2018年も使える!アメリカ不動産投資の「償却メリット」の概要

  • なぜアメリカ不動産投資で「減価償却メリット」が得られるのか?NEW

※本原稿は、2015年8月31日掲載の記事「米国中古不動産で償却メリットを狙える理由」を改訂したものです。