特集 会社の高値売却

会社の高値売却

近年、事業承継の有力な選択肢となっているM&A(第三者承継)。従業員の雇用継続や社会・地域貢献としての事業存続など、金銭面以外の動機付けも確かに大きいが、引退するオーナー社長にとっては、やはり「どれだけ高値で売却できるか」が見逃せないポイントとなるだろう。会社の売却は「最初で最後の経験」というオーナー社長も多いはずだが、もちろん、失敗は許されない。本特集では、シビアな交渉となる「会社の高値売却」に向けたノウハウを、その道のプロたちが詳しく解説する。

事業譲渡をスムーズに行うために必要な専門アドバイザーとは?
山田 尚武
事業譲渡には「客観的な視点」が必要不可欠これまでの連載で、赤字会社が事業譲渡するためには、まず隠れたダイヤの原石を見つけ、それを高く売却することが必要だということを述べてきました。そのために、もっとも大事なのは、買い手の視点で客観的に自分の会社を見ることです。 しかし、自分の長所がなかなか見つけられないのと同じように、会社の長所を見つけるのもとても難しいものです。特に経営者ともなると、異業種を経験することなく長年同じ会社の中で仕事をして…
赤字会社が廃業よりも「事業譲渡」を選択すべきケースとは?
山田 尚武
事業と社員を守る「事業譲渡」という選択肢赤字会社の経営者が会社をたたもうとするときには、「箱=会社」と「中身=事業」を分けて中身だけを譲渡する事業譲渡という道があります。 収支が赤字でも、買い手の目線で魅力的に映るダイヤの原石がある会社ならなおさら、第三者への事業譲渡という選択肢を検討する価値があるでしょう。 とはいえ、事業譲渡というのは事業を承継するための方策ですから、会社をすっかり終わらせる廃業をお考えの経営者の方にとって、事業譲渡…
赤字会社にありがちな「経営者の資質・姿勢」の問題とは?
山田 尚武
経営者の資質や姿勢が「業績」に大きく影響する赤字会社の事業譲渡を検討する際、しばしば目にするのが、赤字の原因が経営そのものではなく、経営者の資質や姿勢にあるというケースです。 家族経営や同族経営の多い中小企業では、公私の区別が曖昧になりがちで、会社のお金と経営者の小遣いが同じ財布に入ってしまうこともよくあります。 大手の製紙会社でさえ、数年前、創業家一族の経営者が百億円以上もの会社の資金をカジノにつぎ込んでしまったことがあり、世間の耳目…
赤字会社のM&Aで「事業譲渡」を選択する具体的なメリット
山田 尚武
リスクの少なさ、事業継続の容易さなどメリット多数前回の続きです。今回は、事業譲渡が持つ4つの大きなメリットを見ていきましょう。 ①個別の売買契約なので簿外債務のリスクが少ない まず、買い手にとっては、個別に売買契約が結べることは、最大の利点です。何より、帳簿に記載されていなかった簿外債務などを負うリスクがありません。 簿外債務とは、貸借対照表に記載がない債務のことで、たとえば会社が訴訟を起こされていたり、何らかの債務保証を行っていた場合…
赤字会社のM&Aでは「事業譲渡」を検討すべき理由
山田 尚武
「箱」がダメでも「中身」がよければ存続できる赤字会社だからといって残された道が廃業だけと考えるのは、早計です。もしも会社に、ひとつでも魅力的なダイヤの原石があるのなら、廃業の前にやるべきことがあるのです。このダイヤの原石は、想像する以上に価値を生んでくれることに違いありません。 会社に隠れているダイヤの原石を、いかに高く売ることができるかについてもっとよく考えることが必要です。 具体的な方法を紹介する前に、まず、会社という組織を整理して…
会社の高値売却を実現する「売り時」のタイミングとは?
渡部 恒郎
業績が右肩上がりの時が「会社の売り時」M&Aを成功させて高値で会社を売却するのにもっとも重要なことがあります。それはタイミングです。やはりベストのタイミング、会社の“売り時”というものがあります。これは会社のタイミングと、業界のタイミングの両方があります。 M&Aの世界では、こんなことがいわれます。 「売りたくないときが売れるとき、売りたいときは売れないとき」 会社が右肩上がりで成長しているとき、会社を手放そうと考えることができる社長は少数で…
買い手の「経営戦略」を分析し、赤字会社の事業を売却する方法
山田 尚武
まず、買い手が行う「経営拡大戦略」について知る前回の続きです。 買い手の視点で自分の会社を分析するといっても、どのように見ればよいのかなかなか難しいでしょう。そのためには、いくつか頭においておきたいポイントがあります。 経営拡大戦略のキーワードともいえる多角化ですが、これにはいくつかの戦略があります。 まず、水平的多角化と呼ばれるのが、従来の顧客を対象にして新事業や新製品に乗り出す経営拡大です。先に述べた例でいえば、運送会社が別のエリア…
M&Aにおいて「会社を高値で売る」ためのポイントとは?
渡部 恒郎
情報量と案件数の多い仲介業者と専属契約を結ぶここまで見てきたようにM&Aで会社を売却するというのは、不動産や商品を売買するのとは違うことがわかっていただけたと思います。ただ、お金のやり取りだけで儲かればいい、高く売れればいいというものではありません。 しかし、譲渡した社長にとって、会社売却後の第2の人生のことを考えれば、ある程度のお金は必要です。会社をできるだけ高値で売却したいと思うのは当然のことでしょう。そこで、ここまで見てきたM&Aの6つ…
赤字経営脱却のために活用したい「買い手の視点」とは?
山田 尚武
設備、ネットワークなど事業自体が持つ価値を見つける前回の続きです。 次に数字を度外視した事業自体が持つ価値を分析します。それには、会社全体や事業部門の収支が黒字/赤字にかかわらず、他社から見て魅力的な事業部門がないか、ということに目を向けていきましょう。 事業自体が持つ価値といっても具体的にどのようなものか想像がつきにくいので、実際に私が担当した会社の事例を紹介します。 筆者が担当したその会社は食品加工業を営んでおり、売上高が約2億円あ…
M&Aを締め括る「クロージング」の手順と留意点とは?
渡部 恒郎
M&Aの成約は売り手と買い手の新たなスタート最終段階は「⑥クロージング」です。起承転結でいえば、「結」の部分になります。 ここまで、さまざまな問題をクリアして、最終的に株価など売り手側と買い手側の諸条件がまとまり「最終契約の締結」となります。売り手企業から買い手企業へ株式が譲渡され、それに対する支払いが完了すると「成約式」を執り行います。 成約式は、まさに結婚式です。売り手企業の社長にとっては、娘を嫁に行かせる心境だという方も多くいらっし…
赤字経営から抜け出すための「発想の転換」とは?
山田 尚武
会社の悪いところから「いったん目をそらしてみる」赤字会社でも債務を消して事業を継続し、経営者や従業員の生活を守ることができるなどというと、長年厳しい現実と向き合いながら会社を経営されてきた方からは、驚きの声が上がります。そんなことができれば、破産して夜逃げする人はいないのではないかと思う方もいるでしょう。 20年以上にわたって、法律の専門家として、特に企業法務のエキスパートとして会社の清算や事業再生のお手伝いをさせていただいた経験から断言…
新常識!? 買収監査(デューデリジェンス)を重視しない理由
渡部 恒郎
売り手企業の内部に深く踏みこむ「買収監査」お互いの気持ちを確認できたら、株価や役員退職金、譲渡後の経営体制や社員の継続雇用、処遇など細部の条件交渉に入っていき、「基本合意契約」の締結、または「意向表明書」の提出に進んでいきます。これは、最終契約に向けた直前段階のものです。トップ面談から、およそ1、2カ月で合意に達するのが一般的です。 この基本合意契約はほとんどの条文に法的拘束力を持たせないのですが、よほどのことがない限り最終契約まで進むこ…
M&Aのトップ面談——双方の価値観をどこまで共有できるか?
渡部 恒郎
書類だけで価値観や理念を理解することはできない本連載の第4回で紹介した起承転結の結に該当する、「⑤交渉」におけるトップ面談は、結婚の中ではお見合いにあたるものです。 ここまで両社の社長は、まだ会っていません。相手のプロフィールや写真を見て検討してきた段階ですが、ここで初めて顔を合わせることになります。資料を見るだけでわかることはありますが、両社のトップ同士が実際に会って対話をすることで初めてわかることは多いものです。書類だけでは相手の魅…
M&Aの成否のカギを握る「マッチングから交渉」までの留意点
渡部 恒郎
経営に対する考え方と相乗効果が重要となるマッチング本連載の第4回で紹介した「承」の段階で作成した企業情報をもとに、売り手企業と買い手企業の「③マッチング」から「④買い手提案」、さらに「⑤交渉」をしていくのが起承転結の「転」にあたる作業です。 すべての段階における手順と実務が重要なのは当然ですが、このマッチングから交渉に至る実務は、M&Aの成否のカギを握る核の部分といっても過言ではありません。我々M&Aコンサルタントは、売り手と買い手双方の企業…
M&Aにおける「ノンネームシート」「企業概要書」とは何か?
渡部 恒郎
さまざまな角度から企業分析し、譲渡希望価格を算出売り手企業の情報収集が完了すると「企業評価」に着手します。企業評価をするにあたっては、大きく3つのアプローチを行います。 1.会社情報の把握(必要書類と社長からヒアリングした情報) 2.定量分析(会社の資産の把握と時価換算というプラスの部分と、負債等のリスクのマイナス部分の把握) 3.会社の定性分析 2つめの「定量分析」は、自己資本の金額や純資産の金額(規模)、資産全体に占める自己資本の割合…
M&Aの相手探しのために売り手企業が準備する「資料」とは?
渡部 恒郎
M&Aコンサルタントが「資料収集」を重視する理由前回に引き続き、M&Aの起承転結にもとづいた手順について見ていきます。今回は、起承転結の「承」です。M&Aでは以下の図表の「②案件化」のステップです。 【図表1 一般的なM&Aの流れは起承転結】 案件化とは、譲渡希望会社の情報を把握して、買い手希望の会社に提案するための資料を作成することで、「資料収集」「企業評価」「企業概要書の作成」「業界分析・業界調査」という作業を行います。 しばしば、M&Aは結婚にた…
M&Aの実務手順と最初のステップにおける留意点とは?
渡部 恒郎
M&Aの実務手順は「起承転結」の流れで進む物語には起承転結があるように、M&Aという一大事業にも起承転結があります。ここでは、流れに従って、日本M&Aセンターで通常行われている実務手順を紹介します。 やるべき手順は以下の6ステップです。 【起】①受託 【承】②案件化(書類作り)③マッチング(登録されている膨大な企業から適切な相手先選) 【転】④買い手提案 【結】⑤交渉(トップ面談・法的拘束力のない基本合意契約)⑥クロージング まず、「起」にあたる…
会社売却を成功に導く「M&Aコンサルタント」の必要性とは?
渡部 恒郎
企業の「中身」と「価値」を判断できる第三者が必要セミナーなどで企業のオーナー経営者によく話す、“たとえ話”があります。 1本のペットボトル飲料があります。売り手企業は、できるだけ高く売りたいと考えます。しかし売り手企業でさえも「ペットボトルの中身は何なのか?」「どのくらいの価値があるのか?」が正確に把握できていません。なんとなく値付けして、「いくらなら買ってくれますか?」などと相手に値段を尋ねている状態です。 一方、買い手企業も中身が何…
2000年代後半から急増している「事業承継型M&A」とは?
渡部 恒郎
団塊世代の大量退職で注目される「事業承継型M&A」日本でのM&Aの黎明期から20年、マイナスイメージを背負い続けてきたM&Aが、ハゲタカファンドの企業乗っ取りやライブドアによる敵対的買収という象徴的“事件”を経て2000年代後半になると、いよいよ大きな転換期を迎えます。 それが「2012年問題」です。1947年から1949年に生まれた団塊の世代が定年年齢に達し、団塊世代の大量退職で深刻な人手不足や技能空洞化が生まれる懸念と、企業社会の根幹を支えてきた世代が大量退…
大企業の買収劇によりマイナスイメージが定着したM&Aの歴史
渡部 恒郎
1980年代終盤からスタートした日本のM&Aの歴史かつて「身売り」や「敵対的買収」というようなマイナスイメージ先行でとらえられ、M&Aに対する誤解が多く存在しました。M&Aはどのような歴史を経て企業の経営戦略として活用されてきたのか。実際にはどのような段取りを経てM&Aは行われているのか。M&Aを経験したことのない経営者の方には大変わかりにくい部分を本連載では解説していきます。正しい知識を学ぶことで、M&Aを有効活用できれば、間違いなく業界再編の波に上手く乗…

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