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「法人化」を活用した相続税対策の具体的な手順とは?
まず建物を売却し、相続時に土地を売る法人化による節税は、2段階で行われることになります。土地を有効活用している場合、通常収益の柱となっているのはその上にあるアパートなり、店舗なりの建物のはずです。土地が利益を生んでいるというよりは、建物がいわば金のなる木となっています。 そこで法人を設立した後、まずこの建物を法人に売却することで、前回説明したような所得分散と税負担の軽減化を図ります。 次に、相続が発生したとき、たとえば「相続税を○億円払…
不動産関連の専門家の知識が「実は不足している」背景
専門家と称する人も不動産を知らない!?前回紹介したような国税庁、税理士の不動産に関する知識不足の背景には、世の中全般が不動産を知らないという点があります。 筆者は銀行出身なので、ときどき金融機関から相続税や不動産に関するセミナーの講師を仰せつかります。その際に、聴衆のレベルを判断するためにいつも持ち出す基本的な例題があります。それは次のようなものです。 大都市郊外の住宅地域に隣接するAとBの土地があります(下記図表1参照)。A地の面積は40坪で…
大きな節税効果を生む不動産賃貸事業の「法人化」とは?
税負担を大幅に軽減できる「法人化」今回は、「法人化」の手法を利用した節税ノウハウについて見ていきましょう。 法人化は財産の価値を下げることで節税につながる対策の一つです。「法人化」という言葉は様々な意味合いで使われていますが、相続税対策においては、法人を設立して、そこを主体として不動産賃貸事業を営むことを意味します。 法人化によって、個人事業主一人に集中していた所得を法人役員全員に分散させることができるというメリットがあります。その結果…
土地の相続税評価額が税理士によって「ブレる」理由
評価規定が「同じ」にもかかわらずブレる評価額相続税は、相続財産の大きさに対して課される税です。その大きさとは、相続財産をどう評価するかによって決まります。とはいえ預金の1億円は、誰がどう考えてもその評価額は1億円です。評価規定(財産評価基本通達)にもそう書いてあります。 では土地の評価はどうやるのでしょうか。 むろん土地に関しても、同じ評価規定に評価方法が定められています。しかしこの評価規定を使っても、一般には1億円と評価されるであろう土…
「資産の組み替え」によって相続税をいくら圧縮できるのか?
自宅を建て替えることで固定資産税評価が40%減資産の組み替えについては、例題を二つご紹介しましょう。 資産の組み換えに金融機関からの借入金を絡めて節税する手法もあるのですが、相続が発生する時期や資金繰り、組み替える資産のボリュームなどにより効果がまちまちであるため、ここでは借入金をしないオーソドックスな例題をご紹介します。 資産の組み替え例① 地主の方が、現金(預金)を1億円持っていたとします。このまま保有していれば、相続税の計算上は当然1…
相続時精算課税制度で広大地評価を生前に確定させる方法
景気によって「マンション適地」となる範囲は変わる前回述べたように、広大地と評価されるかどうかは、その時々の景気動向等によって変わってきます。 まず、景気が悪いときには、建築業者等が不動産の開発を行う際、土地が安いので戸建て分譲にしてしまう傾向が強まります。たとえば駅からすぐ近くの好立地でも、マンションではなく戸建てが選択されるようになります。逆に言えば、広大地と評価されるエリアの範囲がそれだけ広がるわけです。 しかし、景気がよくなれば土…
相続財産の分け方にはどんな「優先順位」があるのか?
相続財産の所有者である「父や母の意思」が最優先相続財産の分け方を決めるとき、まず優先されることはなんでしょう? 「民法で決められている通りの分け方が基本なので、まずその通りに分けるべき」と信じている方が多いのですが、実はこれは間違いです。第一に優先されるのは、相続財産の所有者である父や母の意思なのです。遺言書はその意思が明確に伝わるよう作成されるものです。 もし遺言書が作成されていない場合には、相続人の間で遺産の分け方について、話し合う…
「広大地評価」の適用で得られる節税効果と活用時の留意点
あえて何もせず「広大地評価」の適用を受ける手も「相続時精算課税制度」と「広大地評価」の組み合わせを説明する前に、「広大地評価」にふれておきましょう。 最近は、農家の方々などの間でも、この広大地評価の知識が浸透してきているようですが、基本的な内容を確認しておきましょう。 まず広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比べて、著しく地積が広大な宅地で、建築物の建築等を目的として所定の開発行為をしようとした場合に、道路、公園や、教育施設…
「代償分割」を活用して相続人同士のトラブルを防ぐ方法
求められるのは被相続人からの「気配り」「事業用地や自宅などの不動産を子どもの一人に単独承継させたいが、他に財産がほとんどないので、他の相続人とのトラブルが心配」・・・。ご相談のなかで、よく出会うケースです。トラブルを避けるためには相続人同士の不公平感を減らすための調整が必要なのですが、うまくいかないと、思わぬいさかいにつながります。 そこで求められるのが、被相続人の気配りです。財産の分け方は、もともとの持ち主である被相続人が決めることだ…
配偶者や孫への贈与で使える「贈与税」に関連した特例とは?
婚姻期間20年以上の夫婦に適用できる特例は・・・配偶者への贈与に関しては、配偶者控除の特例という特別な優遇措置が用意されています。 これは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産もしくは居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除の他に2000万円までの控除を認めるという特例です。 これを利用すれば、配偶者は配偶者控除が適用される範囲内で贈与を受けた不動産、または、不動産購入の資金については相続税はもちろん、贈与税も支…
相続対策で低収益の不動産は「早期売却」すべき理由
不動産の売却資金を老後の生活資金等に活用収益が低いのにコストばかりかかる不動産は、保有していてもあまり意味はありません。思い切って売却することを考えてはいかがでしょう? 家賃を下げても空室が埋まらないマンションや契約台数が少ないのに固定資産税が高い青空駐車場など、コストが収入に見合わない物件は数多く見受けられます。少子高齢化が進み、景気の低迷が続く中、経営努力でこういった収益の悪循環を改善することは非常に困難です。 売却してしまえば、コ…
相続対策として「贈与」を活用する際の注意点とは?
贈与は「あげた」「もらった」という事実が必要となる贈与に関しては「本当に贈与が行われたかどうか」が、後日、相続が発生した際に税務当局との間で問題になることが多々あります。 そもそも、贈与は契約の一種です。契約では、当事者双方の意思の合致が必要となります。そのため、贈与する側が一方的に「あげた」だけでは不十分で、贈与を受ける側が「もらった」という意思を示さなければなりません。 したがって、たとえば贈与する側が自分の頭の中だけで贈与していた…
「生前贈与」で効率的に節税するための基本戦略とは?
なるべく早く、多人数に対して贈与を始める贈与による相続税節税にも、もちろん押さえておくべきポイントがあります。効率的に節税するためには、次の4つの基本的な戦略を頭に置いてください。 ●毎年贈与と申告を実行する●早めに実行する●なるべく多人数に贈与する●収入の伴う財産(賃貸用不動産など)を贈与するとメリットが多い 相続に対して税金がかかってくるのと同じく、贈与に対しても贈与税が課税されます。この贈与税は、相続税に比べると基礎控除額が小さく…
相続財産を減らすという節税の視点――贈与の活用方法
節税の柱となる「2つの視点」とは?連載第3回で紹介した「資産防衛のための4つの視点」。今回は、そのうち2つめの「2.節税の視点」について説明します。 「節税の視点」としては、①相続財産を減らす、②財産価値そのものを下げるという角度から解説していきましょう。 ①相続財産を減らす 相続発生前に、贈与により相続財産自体をなくしてしまうことが有効です。贈与には、相続税対策として利用できるさまざまな制度が用意されています。古くからの配偶者控除に加えて、…
成功例から学ぶ「生前贈与」の活用方法と節税効果
被相続人が存命のうちに家族に財産を贈る「生前贈与」高齢になり、相続のことを意識する機会が多い方にとって、生前贈与は大きな意味のある解決策です。節税のためだけでなく、被相続人の意思を生かした財産の承継を行うことができます。 筆者がご相談を受けたなかにも、そんな生前贈与の大成功例といえそうなケースがありますので紹介しましょう。 70代のGさんには持病があり、かかりつけの医師から「80歳くらいまでの寿命では」と宣告されていました。Gさんは資産家で、…
相続トラブルの解決にあたって「弁護士」は本当に必要なのか?
弁護士に依頼する前に「意識しておくべきこと」とは?前回までの連載で、分割の視点に基づいて行う相続対策について具体的に解説してきました。それらの対策が十分にとられていなかった場合、遺産分割の方法などを巡りトラブルが起こる可能性があります。 万が一、トラブルが起こった場合、相続人の間でそれを解消することができなければ、最終的には弁護士に解決を委ねることになるはずです。その場合に意識しておいてほしいのは、弁護士は結局のところ、法定相続分にした…
相続対策として「養子制度」を活用する際の注意点とは?
「養子縁組」が原因で資産を失うこともある計算上は大きな節税効果が期待できる養子縁組ですが、現実はなかなか計算通りにはいきません。筆者が相談を受けたなかにも「相続税対策のために孫を養子にしたところ、逆に資産を失うことになった」という悲しいケースがありました。 相談にいらしたのは、代々農業を営んでいる地主の方でした。古くから持っていた広い田畑が、行政の方針もあって宅地化されていったため、相続税評価額が大きくなることを心配し、金融機関に相談を…
相続において「兄弟同士の共有分割」を絶対に避けるべき理由
兄弟仲が悪くなった場合、共有が大きな問題に預貯金や現金のように金銭であれば、各自の相続分に応じて問題なく分けることができます。たとえば、6000万円の預貯金を3人兄弟で相続したのであれば、2000万円ずつ分ければよいだけです。 しかし、相続財産の中には、このようにきっちりと分割しにくいものもあります。不動産などはその典型例といえるでしょう。そのような財産については、あえて分割せず、複数の相続人で共有したままの状態にしておくという選択肢も考えられ…
「養子縁組」を活用した相続税対策の具体的な節税効果とは?
養子を迎えることで「課税対象額」を圧縮する相続税対策を紹介するとき、必ずといっていいほど取り上げられるのが「養子縁組」を活用する手法です。 一昔前は、被相続人に何人も子どもがいるケースが一般的でした。ところが近年では、少子化により相続人の数が減少しています。そこで孫のなかから、養子を迎えて祖父、祖母の籍に入れ、一代飛ばしで財産の一部を引き継がせたいと考える方も増えてきました。 養子縁組が節税につながる要素は主に3つあります。 ①基礎控除…
二次相続対策には「家族信託」が特に有効となる理由
遺言書では二次相続の内容まで指定することは不可能「家族信託」は、二次相続を想定した相続対策としても非常に有効な選択肢となります。 被相続人が相続の方法を具体的に指定する手段として、遺言書があります。しかし、遺言書で指定できるのは、遺言者である被相続人が亡くなったときの相続、すなわち一次相続の方法についてのみです。したがって、相続人の死亡時の相続である二次相続については遺言で指定できません。 たとえば、一次相続の被相続人Aが、自分の財産をB…
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