今回は、中小企業が使い分けたい金融機関の種類について見ていきます。※本連載では、株式会社グラティチュード・トゥーユー 代表取締役で資金繰りコンサルタントの川北英貴氏の著書『中小企業経営者のための 絶対にカネに困らない 資金調達 完全バイブル』(すばる舎リンケージ)から一部を抜粋し、金融機関の使い分けについて詳しく紹介します。

中小企業には基本的に厳しいメガバンクの姿勢

民間金融機関には、メガバンク、地方銀行、信用金庫・信用組合があります。また、金融機関には、民間金融機関以外に、政府系金融機関もあります。中小企業はこれらの金融機関をどのように使い分けたらよいでしょうか。

 

◆メガバンク
「メガバンク」とは三菱東京UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行のことを言い、各都道府県を営業の中心にする地方銀行とは区別します。メガバンクは、年商10 億円以上の企業でないと、相手にしてもらいづらいです。年商10 億円未満の企業であれば、地方銀行や信用金庫・信用組合をメインに融資を受けていきたいです。

 

◆地方銀行・信用金庫・信用組合
地方銀行・信用金庫・信用組合は、金額が数千万円~数億円となる運転資金・設備資金の融資だけでなく、金額が数百万円程度の小さい金額の融資もこまめに対応してくれます。また企業側が依頼すれば、銀行のほうで担当者をつけて、毎月訪問してきてくれるようになります。特に信用金庫・信用組合は、地方銀行よりもさらにきめ細やかに対応してくれるものです。

 

また金額が数千万円~数億円の大きな融資であれば、年商10億円未満の企業でもメガバンクが対応してくれることもありますが、それでも融資を受ける中心は地方銀行や信用金庫・信用組合にしておきたいです。地方銀行・信用金庫・信用組合は、その地域に根づいている金融機関として、その地域の企業と共存共栄のスタンスです。そのため企業の業績が悪くなったからといって、いきなり見捨てたりはしないでしょう。一方でそういう時のメガバンクの姿勢は厳しいです。

 

そこを考えると、年商10 億円未満の企業は、融資を受ける中心を地方銀行・信用金庫・信用組合にしておきたいです。

日本政策金融公庫の融資は民間銀行の補完として考える

◆政府系金融機関
中小企業が融資を受ける政府系金融機関には、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫があります。

 

日本政策金融公庫には、2008 年に国民生活金融公庫・中小企業金融公庫・農林漁業金融公庫が統合された経緯から、「国民生活事業」「中小企業事業」「農林水産事業」の3つの事業があります。

 

いまだに日本政策金融公庫のことを、国民生活金融公庫を略した「国金(こっきん)」と呼んでいる経営者がいますが、日本政策金融公庫と呼ぶのが正しいです。略称は「日本公庫」です。

 

政府系金融機関で、特に中小企業にとって活用する機会が多いのは日本政策金融公庫の「国民生活事業」です。

 

しかしその融資金額には限度額があり、企業が融資を多く受けられるようにするためには、日本政策金融公庫はあくまで民間銀行の補完として考えるとよいでしょう。

 

なお年商が大きくなってくると(目安は5億円あたり)、日本政策金融公庫の中小企業事業や商工組合中央金庫でも融資の相談に乗ってもらいやすくなります。

本連載は、2016年12月刊行の書籍『中小企業経営者のための 絶対にカネに困らない 資金調達 完全バイブル』から抜粋したものです。稀にその後の法律、税制改正等、最新の内容には一部対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

中小企業経営者のための 絶対にカネに困らない 資金調達 完全バイブル

中小企業経営者のための 絶対にカネに困らない 資金調達 完全バイブル

川北 英貴

すばる舎

元銀行員のカリスマコンサルタントが伝えたい! 銀行との融資交渉、決算書の見られ方、普段の取引…etc.「いつ不足するか?」 がひと目でわかる「資金繰り表」、絶対にソンをしない「資金調達」の方法、調達した後も苦しくな…

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