絶対的に決まっているわけではない「必要経費」の捉え方

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絶対的に決まっているわけではない「必要経費」の捉え方

業務の「必要経費」は、もっと柔軟に考えたほうがいいのかもしれません。今回は前回に引き続き、事業と関係ない経費も「必要経費」になるかについて、判例をもとに詳しく見ていきます。

税務署の考え方を根底から覆す判決

前回ご紹介した弁護士事務所における交際費についての東京高裁の判決は、長い間日本の税務で信じられていた、ある「神話」を否定した判決として、非常に画期的なものとなりました。

 

必要経費とは「事業活動に直接関係するもの」であり、かつ「その事業活動に必要である」ものだと定義されています。しかし、東京高裁の判決では「事業の業務と直接関係を持つことを求めると解釈する(法的な)根拠はない、直接という文言の意味も必ずしも明らかではない」と判断しました。

 

要するに、いままで直接業務に関係していない経費は認めない、としてきた税務署の考え方を根底から覆したわけです。むろん、まだ高等裁判所の判断であり、最高裁がどんな判断をするかは不透明ですが、こうした動きが必要経費、とりわけ「交際費」を舞台に起きていることは画期的といえるかもしれません。

「飲食費=交際費」と決めつけるのは早計!?

ちなみに、所得税や法人税にかかわる「必要経費をめぐる裁判」は、この弁護士の裁判以外にも、次のように数多くの事例で係争中もしくは係争した記録があるといわれています。

 

●ゴルフプレー費、ゴルフ場の年会費
●所属団体をめぐる年会費、連盟費、交際費等
●不動産賃貸用地の固定資産税
●事業主や従業員が受講する研修会費用、学費
●交通事故時の損害賠償費

 

まだ判決が確定したわけではありませんが、今後も交際費を筆頭とする必要経費は、節税の大きなポイントになることはいうまでもありません。「飲食=交際費」と考えるのではなく、もっと柔軟に必要経費を考えたほうがいいのかもしれません。 

 

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