今回は、企業間で交わす「契約書」を作成する際の留意点を見ていきます。※本連載は、新日本パートナーズ法律事務所の代表弁護士・初澤寛成氏と、TH総合法律事務所の弁護士・大久保映貴氏による共著、『会社を守る!社長だったら知っておくべきビジネス法務』(翔泳社)の中から一部を抜粋し、経営陣が知っておくべきビジネス関連の法律知識の基本と、会社を取り巻くトラブルへの対応策、および予防法務について説明します。

契約の内容を「明確」にする意識付けを

契約書の重要性はわかっていただけたと思いますので、今回は、契約書作成時の注意点を説明します。

 

ポイント①:契約の内容は明確に!

 

ここまでの例で見てきたように、契約をした当事者の間で契約の内容に食い違いが生じることから、トラブルは発生します。したがって、契約書で最も大切なことは、食い違いが生じないように、契約内容を明確にしておくということです。

 

冒頭の事例で、「新製品を売ります。」「新製品を1,000万円で買います。」だけではどうでしょうか? 新製品がいくつも出ていたり、製品としては1つでも、大きさやカラーが複数用意されていたりする場合には、食い違いが生じてしまいます。型番があれば、「新製品(型番○○)を売ります。」としておけば、食い違いを防ぐことができます。

 

代金のほうも同様です。「1,000万円」だけでは、「税込み」なのか「税別」なのか、あとで食い違いが生じます。「1,000万円(税別)で買います。」としておけば、食い違いを防ぐことができます。

 

また、支払に関しては、いつ支払うかということも重要です。「末締め翌月末払い」というのがよく行われます。この末締めも、発注日を基準とするのか、それとも納品日を基準とするのかで食い違いが生じてしまいます。

 

このような食い違いが生じないように、契約書では、契約の内容を明確にするという意識が大切です。

 

ポイント②:契約者双方が内容を確認したことを明確に!

 

契約書は、双方が契約書の内容に同意していることを明らかにしなければ意味がありません。極端な話、プリンターからプリントアウトされた書面だけでは、一方が勝手にプリントアウトしただけのものだといわれれば、それまでです。

 

そこで、押印により双方が同意していることを明らかにします。契約書の末尾に押印があれば、契約書の内容に同意していたということになります。

 

契約書を作成し押印する以外にも、双方が同意していたことを示す方法はあります。たとえばメールです。メールの本文に発注内容を記載し、これに対して先方が発注内容を確認したとの返信をすれば、双方が契約の内容に同意していたことが示されます(この場合、返信する際には送られたメールも引用し、発注内容に同意したことが1つのメールでわかるようにしておくとより適切です)。

契約書が複数枚になる場合は「一体」にしておく

ポイント③:複数枚になる場合には一体となるように!

 

契約書が複数枚になるときは、ページとページの間に押印するか、製本テープを利用して契約書を冊子の形にし、製本テープと本体にまたがるようにして表裏押印する必要があります。これは、途中のページが差替えられたりしたものではないことを明らかにするために行われます。

 

また、一体となっていればいいので、2ページの場合には両面印刷にすれば末尾の押印だけで足りますし、4ページぐらいまでであれば、両面印刷で表に2ページ、裏に2ページとすることにより、一体とすることができます。

 

[図表]契約書は一体となるように作成

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