前回は、収益用マンションの相続で親族間の「共有」が招いたトラブルについて取り上げました。今回は、生前に認知されなかった愛人の子の相続権について見ていきます。

認知された子供であれば相続権を持つ

圭子 昼ドラみたいな話がご近所にもあったわ。ほら、大通りでコンビニを始めたTさんが半年ほど前に亡くなったんだけど、いざ相続になって愛人と隠し子がいることがわかって。もう、びっくりした奥さんが寝込んじゃって大変。

 

相子 相続人を特定するためにいろいろ調べるから、それでわかったのね。

 

圭子 そうじゃなくて、愛人が自分と子供にも相続させろって、乗り込んできたらしいわ。相続権って愛人にもあるのかしら?

 

相子 うーん、たぶん愛人にはないはずだけど、子供は認知されていれば相続権があるって北井先生から教わったわ。

 

圭子 認知はしていなかったみたいよ。奥さんはそれを理由にピシャッとはねつけようとしたんだけど、愛人が弁護士を立ててきて泥沼になっているみたい。

「死後認知請求」で認知させることは可能

相子 この場合の原因は100%、Tさんにあると思うんですけど。

 

北井 そうですね。ただ「せめて相続だけでももっと円満にする方法はあったのに」とは思います。いきなり愛人がやってきて泥沼の騒動では、奥さんや子供さんが可哀想ですよね。

 

相子 穏便に処理する方法があるということですか?

 

北井 奥様には知られてしまいますが、せめて他の人にはわからないよう処理できれば、関係者をそれほど不幸にしないですむと思います。

 

相子 愛人には相続権はありませんけど、認知されている子供にはあるんですよね。でもTさんの生前に認知をしていなければ、今さらどうしようもありませんよね。

 

北井 いえ、そんなことはありません。最近では「死後認知請求」という手続きがあり、DNA検査で故人との親子関係を証明し、子供だと認知させる手続きが存在します。最悪のケースを避けるのであれば、Tさんが生前、愛人の子供に十分な財産を与えて、相続放棄してもらうという手段もあります。いずれにしろ子供のことを最優先で考えるべきだと思います。

 

<ONE POINT>

●被相続人の死亡後に愛人や隠し子の存在がわかるとトラブルの原因になりやすい

●愛人には相続権はないが、子供は認知されていれば相続権が発生する

●被相続人はトラブルが起きないよう生前にしっかりと対策を打っておく必要がある

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