前回は、事業の法人化を検討する際に、売上1000万円がひとつの基準となる理由を説明しました。今回は、会社を設立する場合「資本金」はいくらにすべきかを見ていきます。

資本金は「1000万円未満」に設定するのが望ましい

「会社を作る場合、資本金はいくらにするべきか?」

 

いざ会社設立となると、これも悩まれるポイントの一つでしょう。今や、1円から株式会社を設立できる時代ですが、だからといって1円で設立するのもどうなのか・・・スパッとした正解がないのが、モヤモヤするところですね。

 

一つの目安として、2年間の消費税免税の特典を享受するためには、資本金は1000万円未満に設定するのが望ましいでしょう(大規模な設備投資を予定していて、消費税の還付を受けたい場合を除く)。

 

ただし、取引先やその付き合い方によっても望ましい額は変わってきます。たとえば、取引先が大手の場合、一定の額を積むほうがいいという考え方もあります。

 

資本金は会社の体力の目安という見方もあるため、資本金があまりに低い額だと、先方から取引する相手にふさわしいのかを考えられてしまう可能性もあるからです。もちろん、手元にキャッシュがないのに無理するのは禁物ですが・・・。

経営に支障が出かねない「出資額の等分折半」は避ける

また、複数人で会社を起こす場合、出資額の割合によって、後々のトラブルにつながりやすい点には注意が必要です。

 

たとえば友達3人で会社を設立するとなると、「出資額も平等に3分割しよう」となりがちですが、最初は良くても、仲間内でもめごとが起きた時が問題です。

 

なぜなら、会社法上のルールとして、経営決定事項において、株式の3分の2以上、あるいは2分の1を保有していないと決議できないため、仲間割れとなると「何も決まらない」という事態も起きかねないからです。

 

基本は代表者を決めてその人が100%出資し、株式もすべて一人で持つ。全額出資ができない場合は、3分の2以上を持つ。最低でも、半分は代表者一人が持ち、残りを他の社員で割って持つのがベターです。

 

これは、オーナー社長が、自身が持っている株式を引き継がせる際にも同じです。複数人の子供がいると、とかく「等分に相続させたい」と考えがちですが、これぞ親心がアダとなるケースです。

 

中小企業の株は、上場株と違って、市場での換金性がないのもデメリットで、株以外に相続財産がないと、とかくモメごとに発展しかねません。後継者を決めたら、その一人に株は全部移動させる。後継者以外の子供には、株式以外の現金なり土地なりを継承していくのが正解です。

 

資本金一つとっても、常に、万一のことを想定するべし。長期スタンスで考え、判断していくようにしましょう。

本連載は、2017年2月24日刊行の書籍『どんどん貯まる個人事業主のカンタンお金管理』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法律、税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

どんどん貯まる個人事業主のカンタンお金管理

どんどん貯まる個人事業主のカンタンお金管理

櫻井 成行

幻冬舎メディアコンサルティング

個人事業主にとって、日々のお金の管理や確定申告は、頭を悩ませることのひとつです。忙しい仕事の合間を縫って、毎年〆切ギリギリに何とか税理士に資料を提出する、という人も少なくないでしょう。数字や計算が苦手な人は特に…

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