不動産 国内不動産 相続対策
連載「売却」と「組み替え」で問題のある不動産を生きた資産に変える方法【第10回】

海外不動産への投資をどう考えるか?

リゾート物件再販市場相続税対策

海外不動産への投資をどう考えるか?

前回は、借地権付き不動産の整理方法について説明しました。今回は、昨今の海外不動産への投資事情について見ていきます。

いざというとき「売却しやすい」ことが重要

最近、にわかに注目を集めている海外不動産ですが、日本でも財閥系の資産家などは、かなり以前から海外不動産、特にハワイなど有名な海外リゾートの別荘などを購入していました。彼ら生粋の資産家には相続対策という意識はほとんどなく、むしろ自分の生活を楽しみたいという意識からの購入でした。


なぜ、そのように相続対策という意識がなかったのか。もちろん、資産家にお金と心の余裕があったということは確かです。加えて、現地の税制や海外の不動産の価格動向などについて十分な知識を得ることは難しく、知識を得たとしても対処のしようがなかったということも背景にはあるでしょう。


そのような事情は、実はいまもあまり変わっていません。インターネットを通じて現地の様々な情報が入手でき、実際の問い合わせや売買までもができるようになってきてはいますが、課税当局の意向や価格動向に対する判断などは、コストをかけて現地に赴き、そこで短期間でも暮らしてみないと本当のところがわからないからです。


そう考えると、これから資産家が海外のリゾート物件を購入する場合は、楽しむことができるとともに、「いざというときに売却しやすい場所」が適当であるといえます。その代表例がハワイであり、シンガポールなのです。


ハワイの場合は後述するように別荘地とコンドミニアムと称するマンション物件の「リマーケティング」(再販市場)が充実していますし、シンガポールの場合は人口が集中しているので売却する際の需要が手堅いからです。つまり、「売却しやすい」とは中古市場の歴史があって市場が整備されていたり、需要があって買い手がつきやすいということなのです。

海外不動産投資では「人生の充実」などの観点も持つ

海外リゾート物件を購入する際の留意点は、投資の利回りを国内以上に上げようと必死にならないこと、儲かるのではないか、相続税対策として有効ではないか、などという考え方をしないことです。それらはすべて結果論であって、海外不動産を購入する目的とはならないのです。単純にお金の損得ではなく、人生の充実を踏まえたうえでの損得として購入すべきかどうかを考えるのです。


私自身、米国や東南アジアに仕事で赴任していた経験があるので、「この地域に別荘を持ったら楽しめそうだ」「ここに自分の不動産があるといいけれど、税制が厄介だな」などと感じたことがよくあります。実際に、会社のビジネスとして米国のパームスプリングスの別荘を購入したり、ニューヨークの郊外のコンドミニアムに投資したりした経験もあります。そうした投資では、地元のブローキングについて信用できる日系不動産会社に賃貸をお願いすれば、的確な情報が得られ、収益物件として活用することもできるでしょう。


正直なところをいえば、海外の不動産への投資によって将来的に儲かるか、あるいはキャピタルロスがどれくらいになるかはわかりません。ただし、米国は不動産情報についても透明度が高い国なので、その点は日本の不動産業より安心して投資することができるでしょう。

本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『塩漬けになった不動産を優良資産に変える方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相馬 耕三

東京アーバンコンサルティング株式会社 代表取締役社長

1967年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、三菱信託銀行入社。本店不動産部配属となり、不動産仲介・鑑定・開発・各種コンサルティング業務に従事する。その後、米国ロサンゼルス支店融資課長、次長、本店国際不動産コンサルティング業務担当部長等を歴任し、1991年に米国三菱信託銀行(ニューヨーク)会長兼社長に就任。
95年、英国系国際不動産コンサルティング会社である日本ナイトフランク株式会社代表取締役社長に就任。97年に東京アーバンコンサルテング株式会社を設立、現在に至る。
不動産鑑定士。不動産カウンセラー(日本不動産鑑定協会)。不動産コンサルティング技能資格(国交省所管)。宅地建物取引主任者(国交省所管)。不動産専門調停委員(東京簡易裁判所)。

著者紹介

連載「売却」と「組み替え」で問題のある不動産を生きた資産に変える方法

塩漬けになった不動産を優良資産に変える方法

塩漬けになった不動産を優良資産に変える方法

相馬 耕三

幻冬舎メディアコンサルティング

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