透明性を高める「MLS」などの取引情報ツール

前回は、米国不動産の特徴のひとつである「透明性」について説明しました。今回は、米国不動産市場の透明性を高めている、不動産取引情報ツールについて見ていきます。

プロの不動産業者が頼る優れたデータベース「MLS」

米国不動産の取引価格の透明性は、MLS、Zillowといった不動産取引情報ツールの充実によって担保されています。つまり、いつでも誰でも、リアルタイムで不動産の価格情報にアクセスできるのです。

 

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MLSは「マルチプル・リスティング・サービス(Multiple Listing Service)」という、全米のほとんどの不動産業者が加入している不動産業者向けのサイトです。あくまでも不動産業者向けですから、一般の個人がこのサイトを通じて不動産情報を得ることはできません。具体的には、不動産業者が持っている物件情報を、他の不動産業者と幅広く共有することによって、円滑な不動産取引を実現させるためのものです。ここで公開されるデータは、物件の価格情報だけでなく、物件の広さ、過去の売買履歴や修繕履歴、登記の情報などになります。

 

MLSを通じて提供されるデータを見るためには、その州の不動産業者としてのライセンスを取るとともに、その州の不動産協会に所属する必要があります。ちなみに米国における不動産業者のライセンスは、州ごとに発行されているので、たとえばカリフォルニア州の不動産ライセンスを持っている人が、テキサス州の物件を売買することはできません。もし、テキサス州の不動産も扱いたいという場合は、カリフォルニア州のライセンスとは別に、テキサス州のライセンスも取る必要があります。

 

つまり、MLSの情報を閲覧できるということは、きちんとしたライセンスを持っている証拠になります。こうした不動産業者を通じて、売り手は適正な売却価格を把握でき、買い手は周りの物件の価格と比較することによって、自分が買おうとしている物件の価格が妥当なものかどうかを判断できるというわけです。

 

これに対してZillowは、ライセンスを持った不動産業者だけでなく、一般の人でも見られるサイトの一つです。このサイトでは、たとえば自分が持っている家を売却する場合、その家の情報を入力すると、現在の評価額が出てきます。あるいは自分が不動産を購入しようと思った時も、どの地域の物件を探しているのかを入力すれば、大体の価格が分かるようになっています。

 

このように、不動産業者向けサイトであるMLSと、一般の人も利用できるZillowは、両者とも現在の不動産価格を見ることができるという点では同じです。しかし、両者は似て非なるものと考えておいたほうがよいでしょう。何が違うのかというと、情報の確度が違うのです。

 

もちろん、Zillowに掲載されている情報も、全く的外れなものではなく、おおよその価格水準を把握するには十分です。ただ、更新頻度がMLSに比べると少ないため、時々、古い情報が更新されないまま掲載されていることがあります。 

業者間で常にアップデート、信憑性の高い情報が集まる

この点、MLSは適宜、情報が更新されていきます。MLSに加入している不動産業者は、顧客から物件を売却したいというオーダーを受けた時点で、その物件をMLSに登録します。そして、実際にその物件を売却する契約が成立したら、それをMLSに報告します。もしMLSへの報告を怠ったら、MLSから注意を受けます。こうして、常にアップデートが繰り返される仕組みになっているのです。

 

また1日のうちにどれだけの物件が売れたのか、どのくらいの物件がリストに載っているのか、あるいはエスクローに入っている物件は何軒なのか、ということも統計で見られるようになっているので、Zillowに比べると、情報量そのものも圧倒的に違います。かつ、MLSのデータは、MLSに加入している不動産業者が日々、アップデートしていく形を取っているため、情報の信ぴょう性自体も非常に高いものになります。ここでいい加減な情報を出している不動産業者は、業者の間でも信頼できないということになるからです。

 

MLSとZillowの価格情報を比較すると、時々、同じ物件でも両者の間に価格差が生じることがあります。このような場合、プロのサイトと一般向けのサイトでどうして価格差が生じるのかを、実際に現地まで足を運んで調査します。

 

その場合、室内を調べたところ、外見とは全く異なるケースがあります。外見は非常にきれいなのに、室内はボロボロの状態だったというようなケースです。MLSのサイトで価格を調べてはいきますが、実際に中身が全く異なっているような場合は、情報を掲載する業者が必要に応じて、再びMLSに修正情報を入れていきます。こうしたことの繰り返しによって、MLSのデータの信ぴょう性が高まっていくのです。

 

私たち不動産業者は、実際に物件を見に行く前に、まずはこのMLSを通じて、現在の価格、登記情報、ローン残高などをチェックしていきます。要するに不動産業者として把握しておかなければならない情報を、すべてMLSを通じて入手していくのです。

50年前の物件情報も引き出せる「タイトルカンパニー」

このように、MLSはプロの不動産業者が頼りにしている、優れたデータベースなのですが、ここに掲載される情報というのは、あくまでもリアルタイムに近い情報になります。古くてもせいぜい2~3年前の情報が見られるにすぎません。米国の不動産取引は中古物件が中心で、かつ50 年前の物件なども平気で取引されていますから、なかには昔の情報が気になる人もいるわけです。

 

こうした、古い情報を把握したいという場合は、タイトルカンパニーを通じて調べることになります。タイトルカンパニーというのは、要は登記会社のことで、ここには不動産物件の昔からの情報がすべてそろっています。たとえば、ここにある50年前に建てられた物件は、誰がどういうローンを組んで購入したのか、ということまで書かれているのです。50年前の価格は1000万円。200万円を頭金にして、残りの800万円をローンで返済したというような情報です。

 

あるいは、その家の中で、誰が、どういう理由で死亡したのかといった情報を把握することもできます。とにかく、その不動産物件に関連したあらゆる情報が、タイトルカンパニーには保管されているといってもよいでしょう。

 

中古物件を購入する場合、やはり過去、その家でどういうことがあったのかということを気にする人はいます。これは日本人だけでなく、米国人でも同じです。何も好き好んで、自殺者が出たような家を買う必要はないでしょうし、それを隠して販売したら、不動産業者が告知義務違反に問われてしまいます。

 

またタイトルカンパニーは、物件ごとの過去の履歴をすべて保管しているだけでなく、「タイトル保険レポート」を発行してくれます。これは、タイトルカンパニーに保管されている物件の情報をレポートにまとめたものです。

 

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そして、もしこのレポートに書かれていない事実があり、それが買い手にとって将来、不利なことになることが判明した場合は、タイトルカンパニーがその損害を補償するタイトル保険を発行してくれます。タイトル保険の加入はあくまでも任意ですが、物件購入で住宅ローンを組む際、金融機関は融資条件として、タイトルカンパニーのタイトル保険に加入していることを求めてくるのが普通なので、買い手は基本的にタイトル保険に加入することになります。

 

次回は、日本の不動産取引にはない「エクスロー」という仕組みについて見ていきましょう。

本連載は、2014年10月3日刊行の書籍『本命 米国不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は著者の個人的な見解を示したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、出版社、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

リーバンズコーポレーション 会長

1953年生まれ。米国在住35年。カリフォルニア州を拠点に保険・証券・不動産・ファイナンシャルアドバイザーとしてキャリアを積み、2002年、ロサンゼルス郊外のトーランスにリーバンズコーポレーションを設立。豊富な不動産の販売・仲介・管理実績を持ち、米国居住者以外の信託活用法など、不動産保有にかかる関連アドバイスにも強みがある。

著者紹介

連載米国不動産投資が「本命」といえる理由

本命 米国不動産投資

本命 米国不動産投資

ニック 市丸

幻冬舎メディアコンサルティング

成熟経済であり、人口も減少フェーズに入った日本では、国内市場のパイは縮小を続け、不動産マーケットの未来も決して明るくはない。さらに1000兆円を超える財政赤字、超高齢化社会における社会保障費の増大、特に富裕層をター…

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