2011年の東日本大震災を経験し、人々の危機管理体制などに対する関心が高まっています。今回は、不動産への意識が変わってきている中、今後どのような地域に目を向けていけばいいのかを見ていきます。

自然災害の予測は極めて難しいが・・・

2011年の東日本大震災によって、東北地方を中心とした被災地は甚大な被害を受けました。関東に暮らす人々も住宅地の液状化や帰宅難民、計画停電、節電などを経験したことで、不動産に対する意識も大きく変わってきています。

 

たとえば、海抜や地盤の強さ、地域の災害履歴(ハザードマップ)といった建物の立地条件を始め、建物の耐震性能、電源の多重化や省エネルギー性能、危機管理体制などに対する関心が高まっています。特に、湾岸部で液状化被害が発生し、内陸部では放射能汚染のホットスポットが集中した千葉県では、一時的にマンション供給や中古住宅販売が落ち込み、住宅地価にも影響が出たほどです。首都圏だけに限らず、南海トラフ地震などによる津波が懸念される四国の太平洋岸などでも地価が下落しました。

 

このような自然災害は予測が難しいこともあり、考え始めるとキリがありません。そんななかで、長期のローンを組んでマイホームを取得することに対して慎重になっている人も少なくありません。今後、不動産市場では地域や物件の選別がより強まると同時に、一律にマイホームを取得するというスタイルから脱却して多様化が進むと考えられます。

 

しかし、このことは決してマイナス面ばかりではありません。インターネットやスマートフォンなどの情報端末の進化にともなって、場所や距離に関係なく、あらゆる情報を瞬時にやりとりすることが可能になりました。これは、人が場所に縛られなくなりつつあることでもあります。言い換えれば、あらゆる地域に不動産投資の可能性が潜んでいるというわけです。

 

特に医師であれば、地価も高く、医師の数も多い東京に固執する必要は全くありません。むしろこれからは、安全で快適な、もっと高齢者の皆さんが住みたいと感じる場所を、自分で創り出して提供すれば良いのです。口コミであらゆる情報が瞬時に駆け巡る時代ですから、安心・安全で快適な高齢者向け住宅がある、と評判になれば、入居者は全国から殺到するかもしれません。

 

日本人の主要移住先など海外の不動産投資も視野に

そんななかで筆者が今、注目しているのが海外です。時代は「GDP(国内総生産)からGNP(海外投資収益を含む国民総生産)へ」、あるいは「メイド・イン・ジャパンからメイド・バイ・ジャパンへ」という流れの中にあります。今後、TPPへの参加が決まればその加盟国間でヒト、モノ、サービスなどの行き来がさらに加速します。そうなれば、海外の物件を購入してそこで医療サービスを提供する、という可能性も広がるのです。

 

たとえば、現在定年退職後の日本人の移住先として人気が高まっているマレーシア、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどの国々で、日本人向けに医療サービスを提供する、なんてことも可能になるかもしれません。

 

所有している不動産からきちんと家賃収入があれば、あくせく働いて給料を稼がなくても、物価の安い海外で暮らすくらいの収入にはなる可能性は十分にあります。海外に住む日本人の良き相談相手となりながら、気ままなリゾートライフを過ごすことも、決して夢物語ではありません。日本という国の枠組みを越えることで、チャンスは一気に広がります。世界を視野に入れた不動産投資というのもいいかもしれません。

 

 

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    本連載は、2013年8月25日刊行の書籍『なぜ医者は不動産投資に向いているのか?』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    なぜ医者は 不動産投資に向いているのか?

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    大山 一也

    幻冬舎メディアコンサルティング

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