今回は、ついつい見落としがちな「相続税の対象となる」財産とは何かを見ていきます。※本連載は、エクスプレス・タックス株式会社の代表取締役で、税理士の廣田龍介氏による著書、『事例でわかる高齢化時代の相続税対策』(毎日新聞出版)より一部を抜粋し、相続の基本的な知識を、事例を交えながら紹介します。

「子供・孫名義の預金」も相続財産となる可能性が

前回の続きである。今回は、ついつい見落としがちな「相続税の対象となる財産」とは何かを説明する。

 

その一つが名義預貯金。例えば、祖父が未成年の孫のために開いた銀行口座などを指す。贈与を申告するなど説明のつく資金移動をしていれば問題ないが、そうではない、配偶者や子供、孫名義の口座は、名義預金として計上・申告する必要がある。

 

税務調査では、やりくり上手な配偶者のへそくりを「夫のお金を奥さん名義で貯金していたのですね」などと指摘されることが多いので、要注意だ。

 

二つ目は、貸金庫や自宅金庫のチェック。現金、金の現物、保険証券、権利書、保証書など、価値あるものが眠っていることが多い。

 

三つ目は、同族会社、友人、知人に対する貸付金だ。存在しているかどうかこの際確認してみてはどうだろうか。

 

四つ目は、隠れた債務(借金)。個人的に保証人になっている場合や不動産を担保提供している場合だ。不確定債務は債務として認識できないので、整理のための棚卸しが必要だ。

持っている銀行・証券口座を確認し、明細を作る

不動産や債務については税理士に相談し、調べるのが確実だが、まずは身の回りにある銀行・証券口座などを確認し、明細を作ってみよう。

 

明細ができれば、現時点の相続税額を計算することができる。そこで初めて「納税資金はあるのか」「どう分割すればいいか」「どう節税できるのか」の戦略を練ることができるのである。

本記事は、毎日新聞のニュースサイト「経済プレミア」に2015年6月から連載されている「高齢化時代の相続税対策」と、同名の書籍(毎日新聞出版刊)を元にしています。その後の税制改正などには対応していない可能性もありますのでご了承ください。

事例でわかる 高齢化時代の相続税対策

事例でわかる 高齢化時代の相続税対策

廣田 龍介

毎日新聞出版

相続税が増税され、富裕層でなくても相続の正しい知識と対策が必要な時代になりました。少子高齢化・長寿化で生前対策の重要性も増しています。あなたの大事な資産を生かす方法を、税理士の廣田龍介さんが指南します。毎日新聞…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録