前回は会社の実態と課題を把握し、脱・自転車操業を果たす方法について説明しました。今回は、「会社の帳簿付け」は経営者自らが取り組むべき理由を紹介します。

経営不振に陥る経営者は「数字に弱い」

これまでの私の経験からいうと、経営不振に陥ってしまう会社の経営者は、総じて数字に
弱いという傾向にあります。逆にいえば、会社の数字がわからないという事実に危機感がないからこそ、自転車操業に陥ってしまったとさえも考えられるのです。

 

経営者は常に多忙です。特に自転車操業を強いられているような経営者は目の前の資金繰
りに注力するあまり、会社全体の数字を把握している余裕はないかもしれません。

 

[図表]記帳を担っている担当者

帝国データバンク
「平成24年度中小企業における会計の実態調査事業報告書」より作図
帝国データバンク 「平成24年度中小企業における会計の実態調査事業報告書」より作図

 

しかしながら、そんな状況だからこそ出ていくお金を把握しなければならないのです。な
ぜなら、多くの企業には収支のバランスがほぼ一致する事業規模、つまり損益分岐点があるからです。ある一定の売上高を境に黒字と赤字が逆転するのです。

「支出」を知ると次の目標が見えてくる

それを知るために必要なのが「費用=出ていくお金」を知ることです。費用は、売上と比例して増加する変動費と売上にかかわらず必要な固定費にわかれます。経営を黒字にしていくために必要な売上高は、

 

固定費÷{(売上高-変動費)÷売上高}

 

という計算で求められますので、まずは出ていくお金である固定費と変動費の額を知らな
ければならないのです。

 

会社経営を黒字化するために必要な売上の規模がわかれば、会社の状況整理と目標がはっ
きりします。すると少しずつ経営に余裕が出てきます。売上を伸ばすために、新たなことにチャレンジしようという目標も自然と生まれるでしょう。

 

この本を読んでいる方々にも、心当たりがあるかもしれません。


会社経営とは、経費を払い、仕事をして代金を回収し、帳簿をつけて決算をし、税金を納
めるまでの一連の流れをさします。帳簿をつけることも、経営者の本業なのです。 

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    本連載は、2017年3月23日刊行の書籍『「万年自転車操業」の会社を「万年安定経営」に変える方法 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    小林 優一

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