ヘッジファンドの具体的な投資戦略とは?(その4)

前回に引き続き、ヘッジファンドの具体的な投資戦略をご紹介します。今回は、「裁定取引戦略」について詳しく見ていきます。

債券等の金利関連商品の価格の歪みから収益を狙う

●債券裁定取引戦略


債券等の金利関連商品の価格の歪みから、収益を狙います。一般的に、債券裁定取引戦略は、金利変動のリスクをヘッジし、価格の変動リスクを低く抑えながら安定したリターンをあげることを目指します。

 

ソロモン・ブラザーズの債券トレーダーだった、ジョン・メリウェザーを中心として、1994年にLong-Term Capital Management(LTCM)が設立されました。マイロン・ショールズとロバート・マートンのノーベル経済学賞受賞者がチームに参加し、ドリームチームと呼ばれ注目され、その結果、当初から12億5,000万ドルの資金を集めました。

 

当初は、割安と判断した債券を購入し、割高と判断した債券を売る債券裁定取引を中心に、高いレバレッジを掛け収益の拡大を図りました。年間の平均利回りも40%に達し、ヘッジファンドの中でもトップクラスの存在でした。

 

しかし、1997年のアジア通貨危機と1998年のロシア財政危機が発生し、その煽りを受けファンドは破綻しました。ロシアが短期国債の債務不履行を発表した事で、新興国の債券に対する評価が下がり、投資していた資金が引き上げられ、先進国に還流していきました。LTCMの運用モデルでは、ロシアが債務不履行をしない前提で運用されていたので、新興国の債券が割安になったと判断し、その後も買い増しを続け、最終的には運用が行き詰ってしまいました。運用モデルの判断ミスが一番の要因ですが、25倍ともいわれた高レバレッジによるポジションも破綻の原因といわれています。

 

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債券以外を対象とする裁定取引戦略は?

裁定取引戦略には、債券を対象にした戦略以外に以下のような戦略もあります。

 

●モーゲージ証券裁定取引戦略


モーゲージ証券に投資しながら、モーゲージ証券の信用リスクまたは金利リスクをヘッジします。割安な銘柄を買うと同時に、割高な関連証券を売り、マネジャーの想定するレベルに価格の歪みが戻ることから利益を得ることを目指します。

 

●転換社債裁定取引戦略


転換社債、ワラント等の普通株式に転換可能な有価証券の価格の歪みを利用します。多くの場合、転換社債やワラントを購入すると同時に、同じ企業の株式を売り建てることで、株式に連動するリスクなどをヘッジしながら収益を狙います。

本連載は、一般的な投資信託の仕組みなどを紹介することを目的にしています。投資を促したり、筆者が所属する「幻冬舎アセットマネジメント」に勧誘することを目的としたものではありません。また、投資にはリスクがあります。リスクに十分に考慮をして、投資判断を行ってください。本連載の内容に関して投資した結果につきましては、著者及び幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。

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幻冬舎アセットマネジメント 事業開発室 室長

1984年、日興証券(現SMBC日興証券)入社。個人富裕層向けの資産運用アドバイス、外資系金融機関への機関投資家営業ののち、投資開発部、ファンドマーケティング部でデリバティブ商品、投資信託業務に従事。
2001年からは三菱UFJ証券(現三菱UFJモルガンスタンレー証券)で商品開発本部に所属し、銀証連携により企業オーナー、個人富裕層に対しての商品企画、販売プロモーションを経験。
2011年、バークレイズ・ウェルス・サービシズに移り、日系メガバンクとのプライベートバンキング事業立ち上げに参加。プライベートバンカーとして、資産5億円以上の富裕層顧客に資産のコンサルティング業務を行う。
2017年1月から現職。これまでの経験を生かし、金融機関とは一線を画し、企業オーナー、富裕層の財産を守る為に、公正、中立な情報の提供を心がけている。

著者紹介

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