マイナンバー法人番号制度の実施で浮上した各種の問題点

今回は、マイナンバー法人番号制度の実施で浮上した各種の問題点について見ていきます。※本連載では、不動産コンサルタントの山本芳治氏の著書、『マイナンバー法人番号と会社・法人登記簿の見方』(発行:アズミ、発売:ビジネス教育出版社)の中から一部を抜粋し、マイナンバー法人番号の基礎知識について解説します。

約93万の法人番号通知が不達となった理由

国税庁によると、マイナンバー法人番号の通知を平成27年10月から郵便にて約432万先に発送したところ、約93万先(4先に1先)が不達として戻ってきてしまいました。その理由の多くは「あて所に尋ねあたりません」として返戻されているとのことです(なかには、郵便局員が個人番号の取扱いと同じだと勘違いして、転送しなかったケースもあったようですが)。

                          

いずれにしても、不達先の大量発生の理由を調査すべく、そもそも会社法人等番号を付した法務省と、それを受けて現実に発送し、返送分を保管中の国税庁等の各種統計資料を調査したところ、次のような事実がわかりました。

 

A.所得税の申告をしている株式会社(特例有限会社を含む): 2,457千社

B.登記されている株式会社:1,763千社

C.所得税を申告している特例有限会社(A-B):694千社

D.登記されている特例有限会社 :1,620千社

E.倒産・廃業等で実態はないが解散・清算登記をしていない特例有限会社(D-C):926千社

 

Eの926千社の特例有限会社は、不達930千先とほぼ同じ数です。つまり、法務局の会社登記簿には登記されているが、実際にはこの世の中には存在しない「幽霊会社」というわけです。

 

なぜこのようなことが起こるのかといえば、会社法・商業登記法上は、倒産・廃業した場合は、本来ならば会社解散・清算の登記をすべきですが、このような状態になった会社が、登録免許税のかかる登記手続をするはずもなく、そのまま放置されているということです。税務当局も申告すべき書類を送付、訪問しても、「あて所に尋ねあたりません」で、それ以上は進みません。奇しくも、マイナンバー法人番号制度から、会社法、商業登記法、登録免許税法の問題点が浮き彫りにされました。

 

なお、当然のことながら現実に存在している会社は、商号変更、所在地変更(本店移転)をしている場合はその変更登記をしておかないと郵便物は届きません。また、インターネットの登記情報には誤った情報が記録されてしまうことになります。

法務局は今、休眠会社を毎年整理しているが…

商号変更・本店移転登記の変更手続については、本連載の第4回、第5回で解説する予定です。それぞれ登録免許税30,000円が必要ですが、自分ですれば勉強になり、司法書士等への手続代行費用もかからないという実益があります。登記所でも相談に応じてくれます。

 

全国の法務局では、平成26年度以降、毎年、休眠会社の整理作業を行っています。休眠会社または休眠一般法人について、法務大臣による公告および登記所からの通知がされ、この公告から2カ月以内に事業を廃止していない旨の届出または役員変更等の登記をしない場合には、登記官の職権で解散の登記(みなし解散の登記)がなされます。

 

みなし解散登記制度による通知は、平成26年11月11日約8万7千先に発送され、翌27年1月20日約7万9千先について職権による解散登記がされました。特例有限会社にはこのみなし解散制度の適用はなく、93万の不達郵便物は焼却を待つばかりですが、依然として登記は残ることとなりこの問題の解決は先送りされたままです。

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連載経営者のための「マイナンバー法人番号」の基礎知識

登記と金融実務研究会 代表・不動産コンサルタント

1958年、信州大学卒業。1993年、芝信用金庫に35年間勤務の後定年退職。現在、登記と金融実務研究会代表・不動産コンサルタント。金融法学会会員。

著者紹介

マイナンバー法人番号と会社・法人登記簿の見方

マイナンバー法人番号と会社・法人登記簿の見方

山本 芳治

アズミ 発売元:ビジネス教育出版社

企業の経営者・総務担当者、金融機関の融資・渉外担当者必読。通知書が届かなかった会社・法人は、現状にあわせて、すみやかに所在地変更・商号変更の登記をしなければ、誤った情報提供がなされることに! 会社を存続させる…

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