EU離脱決定後も相次ぐ、グローバル企業による英国投資

前回は、英国不動産価格の見通しについて解説しました。今回は、EU離脱決定後、数々のグローバル企業が決断した英国への投資方針について見ていきます。

先行き不安から投資は縮小すると思われたが・・・

前回の記事では、EU離脱を決めた英国の不動産市場が実際にどのように推移したのか、また、今後どのように成長していくのかについて解説しました。

 

今回は、不動産市場ではなく、よりマクロ的な目線で、英国経済がEU離脱決定を経て、どのような動きを見せたのかを解説していきます。

 

英国のEU離脱が決定直後は、先行き不安からグローバル企業による英国への投資は控えられる、もしくは縮小するとの見込みが先行していました。しかし、英国への投資は完全に停止し、縮小したのでしょうか? 実際は、EU離脱が決定した後も企業から多くの投資が相次ぎました。

多数の有名企業が投資を表明

2016年7月11日 - Siemens

シーメンスは、英国へさらなる投資を確約しました。2017年3月28日の報道で、同社の最高責任者であるユルゲン・マイヤー氏は「英国のEU離脱の条件面は未だに不透明だが、私たちはロンドンに対して長期的にコミットする。ロンドンは、イノベーションとテクノロジーの中心地であり続け、私たちは才能、デジタル化、投資の面で協力できる機会を多くみつけている」と発言しています。

 

2016年7月18日 - Softbank

ソフトバンクグループは、英国の半導体設計大手であるアーム・ホールディングスをおよそ240億ポンドで買収することを発表し、EU離脱による影響に関わらず英国経済と国内の雇用に貢献することを約束しました。

 

2016年7月25日 - Veolia

世界66カ国で水事業を展開し、上下水道サービスを提供しているフランスのヴェオリアは、次の5年間で英国に7億5000万ポンド(およそ1000億円)を投資し、600人分の新しい雇用を創出する計画を進めています。

 

2016年7月27日 - GlaxoSmithKline

ロンドンに本社を置く世界有数のグローバル製薬企業であるグラクソ・スミスクラインは、2億7500万ポンド(およそ388億円)を投じ、英国にある3つの製薬工場の拡張を行なう方針を示しました。

 

2016年9月28日 - Apple

アップルは、再開発が進むバタシー発電所の跡地に新しい英国本社を設立することを決定しました。

 

2016年10月27日 - 日産自動車

日産自動車は、キャシュカイとエクストレイルの新型車をサンダーランドにある自社工場で生産することを決定しました。EU離脱が決定する前には、EU離脱が決定した場合には英国から撤退する可能性が指摘されていましたが、実際は7000人の雇用を守る形となりました。

 

2016年11月15日 - Google

グーグルは、英国で3000人を新規に雇用することを発表しました。これにより、2020年までに同社の雇用者数は7000人の達する見込みで、これは本社がある米国に次ぐ拡大となります。新規雇用により英国のテクノロジー分野が強化されると説明しています。

 

2016年11月21日 - IBM

IBMは、英国に新規に4つのデータセンターを作ることを決定しました。

 

2016年11月21日 - Facebook

Facebookは、英国で新たに500人を雇用しロンドン本社の強化を行なうことを決定しました。ヨーロッパ、中東及びアフリカ地域の副社長を務めるニコラ・メンデルソン氏は、「英国は、テクノロジー企業にとってとても魅力的な都市の1つであり続ける。英国はFacebookのストーリーで重要な部分を占めている」と発言しています。

 

2016年12月7日 - タタ・スチール

インドの財閥であるタタ・グループの中核となる鉄鋼メーカーであるタタ・スチールは、英国にあるプラントに10億ドル(およそ1100億円)を投資し、4000人の雇用を守ることに合意しました。

 

2017年2月4日 - バンクオブアメリカ・メリルリンチ

バンクオブアメリカ・メリルリンチは、ロンドンで移転先となる46,450平方メートル規模の新しいオフィスを探していることが報じられました。

 

2017年2月20日 - Amazon

Amazonは、新しい本社をロンドンのショーディッチに開き、これに伴い新たに5000人を正規雇用することを発表しました。

 

2017年2月24日 - Boeing

世界最大の航空機メーカーであるボーイングは、同社として欧州圏で初となる製造拠点を英国のイングランド北部・シェフィールドに建設する計画を明らかにしました。ボーイングは、この製造拠点でボーイング737と777の部品の供給を行う予定で、建設には2000万ポンド(およそ28億円)が投じられます。

 

2017年3月16日 - トヨタ自動車

トヨタ自動車は、英国内で欧州向けの自動車を生産しており、ダービーシャーにあるバーナストン工場に2億4000万ポンド(およそ338億円)を投じて新しい車台をベースにした自動車の生産をすることを決定しました。

 

2017年3月27日 - カタール

カタールの首相であるアブドッラー・ビン・ナーセル・アール=サーニー氏は、次の3〜5年間で英国のエネルギー、インフラ、不動産などの分野に50億ポンド(およそ7000億円)を投資する考えであることを発表しました。同国の財務大臣であるアリシャリーフ・アルイマーディー氏は、BBCの取材に対して「現在、英国は私たちにとって1番の投資先であると同時に、カタールの投資家の投資先としても1番である。投資先はパブリック、プライベートの両方を含む。」と回答しています。

 

このようにEU離脱が決定した後も、世界的に有名な大企業からの英国に対する投資は継続されています。もちろん、EU離脱決定によるポンド安の状況は、企業や個人が英国に投資し易い環境となっていることが影響しているのは確かです。しかし、英国における新しい生産拠点の建設、雇用者数の増加、新しい事業ベースの調達は、英国がEUから離脱した後も英国における事業を長期的に展開していくことを示しています。

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連載レジデンス&学生寮投資で注目集める「イギリス不動産」の魅力

ディフィニティブ不動産(Definitive Property Group Limited) 代表

1994年より不動産業界に携わる。不動産の売買、賃貸、管理に関する知識と経験を培った後、住宅開発部門において、住宅開発機会(既存の建物や土地など)の調達、投資戦略の考案と実現可能性の調査、購入手続き、地方自治体からの建築許可の取得、住宅建設のマネージメントなどを担当する。

2012年6月、自身の会社となるDefinitive Property Group Limitedを設立し、国内外の投資家へ英国になる一般住居、介護施設、学生寮などの不動産投資機会を販売している。その他にも一般のマーケットでは販売されていない、オフマーケットと呼ばれる住宅開発機会やロンドン中心部の高級住宅の売却も取り扱っている。
WEBサイト:http://definitivepropertygroup.com/jp/

著者紹介

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介護施設、学生寮、中古タウンハウスetc・・・注目集めるイギリス不動産投資の可能性

~世界有数の人気不動産マーケットの現状と最新投資案件

講師 清水泰輔氏
日時 2017年11月08日(水)
内容

・EU離脱の影響は? 英国住宅市場の最新事情

・ロンドンの住宅動向と投資先としてどう見るか?

・注目集める「介護施設」投資とは何か?

・購入時、保有時、売却時に必要なコスト&税金とは?

・ロンドン近郊都市「ルートン」の中古タウンハウスの魅力

会場 幻冬舎本社ビル内 セミナー会場

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