前回は、不動産投資の利回り計算で参考にしたい「IRR」について解説しました。今回は、為替の動きを考慮した投資リターンの計算法を紹介します。

ローンを利用した際のレバレッジを想定

不動産投資においては、ローンを利用してレバレッジをかける場合があります。投資に必要な当初金額は小さくなりますが、ローンの金利の支払いが発生しますので、その分キャッシュフローの減少要因となります。

 

例えば、前出の10万ドルの物件を、ローンを組んで購入する場合を考えてみます。10万ドルのうち、5万ドルを年利6%で借り入れし、同じように5年後に10万ドルで売却したケースを考えます。

 

 

5万ドルに対して年間3000ドルの金利支払いが発生しますから、年間家賃1万2000ドルから金利を差し引くと、9000ドルとなります。一方で当初の投資金額は半分の5万ドルになりますから、キャッシュフローは、当初がマイナス5万ドルで、毎年の収入が9000ドル、そして売却時がローンを返済して5万ドルになります。このキャッシュフローのIRRを計算すると18%に跳ね上がります。

 

[図表1]キャッシュフローの把握(レバレッジあり)

 

借り入れによってレバレッジをかけると、このように投資効率を高めることができますが、売却金額や賃料収入の変化に対するリターンの変動も大きくなります。レバレッジをどの程度までかけるかは、不動産投資のリスクに大きな影響を与えます。

稼働率を考慮した想定収入で、より保守的な予測に

ここまでの利回り計算では、家賃収入に空室率を反映させていません。しかし実際のシミュレーションにおいては、物件の周辺地域の平均空室率を調べ、それにテナント入れ替えに伴う空室期間を想定して、物件の稼働率を計算します。年間の想定賃料に、稼働率をかけ合わせた数字を賃料収入として計算すれば、より保守的な利回り計算ができるようになります。

 

また、海外不動産投資は、かけ算で考えることが重要になります(第8回参照)。利回りは、現地通貨でまず計算することになりますが、最終的には円での利回りを計算する必要があります。

 

 

ただし、将来の為替レートを予想するのは簡単ではありません。現実的な方法としては、円安・円高それぞれのシナリオを作り、それぞれのケースで円ベースのキャッシュフローを作成し、同様にIRRでリターンを算出してみるといいでしょう。左の表は為替レートが毎年1円ずつの円安になった場合のIRRを計算したものです。ドルベースでは5.0%ですが、円ベースで計算すると、6.0%になります。

 

現地の物件価格・賃料収入だけでなく、為替の動きによっても、投資リターンは変わってくるのです。

 

[図表2]為替が毎年1円の円安になった場合のキャッシュフロー(CF)

本連載は、2014年4月25日刊行の書籍『究極の海外不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
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究極の海外不動産投資

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