エリアで大きく異なる、海外不動産投資のリスクとリターン

前回は、海外不動産投資に取り組む「3つのメリット」を解説しました。今回は、エリアで大きく異なる、海外不動産投資のリスクとリターンについて見ていきます。

リターンが期待できるエリアはリスクも高い

今回からは、海外不動産投資の物件選択のプロセスについて説明します。前回までに説明したように、資産運用においてはまず投資の目的を明確化し、それに合った投資対象を選択することが重要です。そのためには投資対象にどのようなリスクがあって、その対価としてどの程度のリターンが期待できるのかを把握する必要があります。海外不動産投資と言っても、投資エリア、投資対象によってリスクやリターンは大きく変わってきます。

 

海外不動産投資はリスクのある投資ですが、そのリスクは投資対象国によって異なります。金融の世界では「フリーランチ(タダ飯)はない」とよく言われます。リターンが期待できるエリアはリスクも高いということです。リスクが低くてリターンが高いといったうまい話は存在しないのです。

 

 

例えば、先進国と新興国を比較すれば先進国のほうが法整備が進み、投資対象へのリスクは一般に低くなります。新興国は値上がり益や利回りで高いリターンを期待することができますが、その反面リスクも大きいと言えるのです。

 

新興国の中でも、マレーシアのように先進国に近い発展が進んでいる国は経済成長とともに期待リターンも低下してきています。逆に、カンボジアやバングラデシュのような新興国の中でも発展段階の初期にある国は大きなリターンも期待できますが、その分リスクも大きいと言えるのです。

 

[図表]国別のリスクとリターン(イメージ)

海外不動産投資は為替の変動にも注意が必要

海外不動産投資は、国内の不動産投資と異なり、為替の変動による影響もあります。円ベースの収益は、

 

物件価格の上昇率=現地価格の上昇率×現地為替レートの上昇率

 

のかけ算で計算できます。

 

わかりやすい例として、1ドル=100円として、10万ドル(=1000万円)の物件を考えてみます。

 

物件が現地で10%値下がりしたとしても、為替が10%円安(1ドル=110円)になれば、円ベースでのリターンは、ほぼゼロになります。物件が現地で20%値上がりし、さらに為替も20%円安(1ドル=120円)になれば、円ベースでは44%のリターンになります。

 

為替レートの変動は、円ベースの物件価格だけでなく、購入した不動産物件を賃貸した時の家賃にも影響します。

 

 

10万ドルの物件を、月1000ドル(10万円)で貸し出したとしましょう。毎月受け取る家賃も、現地での家賃の上昇と為替レートのかけ算によって変わってきます。1000ドルの家賃が1100ドルになれば、1ドル=90円の円高になっても円ベースの金額では9万9000円とほとんど変わらないことになります。海外の賃貸物件では、家賃が上昇することも珍しくありません。また、円安になれば円ベースでは、投資のリターンは高くなります。

 

なお、米ドルで物件や家賃をやり取りするのは、アメリカの不動産以外ではカンボジアなど一部の国のみです。それ以外の地域では、それぞれの国の通貨で投資し、家賃を受け取ることになります。その場合、為替レートはドルと円の交換比率だけではなく、ドルと現地通貨の為替レートの変動にも影響されることになります。

 

例えば、マレーシアの不動産に投資をする場合、為替レートとしてはドルとリンギット(マレーシアの通貨)の関係もチェックする必要があるのです。円とドル以外の他通貨の為替レートは、ドル円とドルと他通貨の関係に分解して考えることができます。マレーシアリンギットの場合は、ここ最近はドルに対して上昇しています。

 

このように米ドル以外の通貨で投資をする場合は、ドル円だけを見るのではなくドルと現地通貨の関係もチェックする必要があるのです。

本連載は、2014年4月25日刊行の書籍『究極の海外不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は著者の個人的な見解を示したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、出版社、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

「不動産」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

「海外不動産」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

連載海外不動産投資を活用した資産形成&資産防衛のススメ

株式会社資産デザイン研究所 代表取締役

1986年、東京大学経済学部卒。MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒(MBA)。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の立ち上げに参加。2013年に株式会社資産デザイン研究所を設立し、代表取締役社長に就任。自らも投資家として活動する一方、資産運用に関する講演、セミナー、執筆活動など多方面で活躍する。また、一般社団法人海外資産運用教育協会の代表理事として、資産運用の重要性を広めるべく、人材育成にも力を入れている。主な著書に、シリーズ累計12万部を超える『〔第3版〕内藤忍の資産設計塾』(自由国民社)の他、『内藤忍 お金の話をしませんか?』(日経BP社)、『60歳までに1億円つくる術』(幻冬舎)などがある。
1996年から続く、公式個人ブログ「Shinoby’s World」は、毎日更新。毎週金曜日には「資産デザイン研究所メール」(無料)で、資産運用に関する最新情報を配信中。

著者紹介

究極の海外不動産投資

究極の海外不動産投資

内藤 忍+GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

海外不動産投資の最大の魅力は、海外の国や地域が持つ「成長力」に投資できること。とはいえ、やみくもに投資を行っても利益は得られません。目的に合った投資先に、適切な方法で投資することこそが「究極の海外不動産投資」な…

日本×世界で富を築く グローバル不動産投資

日本×世界で富を築く グローバル不動産投資

内藤 忍

幻冬舎メディアコンサルティング

今や、不動産投資において日本国内と海外の垣根はなくなりつつあります。 身近でわかりやすく、土地勘のある国内不動産。 成長性の高いエリアならば高収益が見込める海外不動産。 各投資商品の違いを比較することで、メリッ…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧