前回に引き続き、マンション適地の可能性がある土地は、広大地評価の適用が可能かどうかを見ていきます。※本連載では、相続税対策を始めとするあらゆる資産税業務に精通したプロ集団、JPコンサルタンツ・グループによる著書、『三者の視点から見た広大地評価の実践事例』(法令出版)より一部を抜粋し、税理士、不動産鑑定士、元税務調査官の三者の視点から見た、広大地評価についての考え方・評価方法を事例をもとに解説していきます。

地域的な移行か、経済情勢等に起因するものか

前回に引き続き、マンション適地の可能性がある土地は、広大地評価の適用が可能かどうかを見ていきます。

 

<不動産鑑定士の見解>

 

マンション適地等への移行が、地域的な移行なのか、経済情勢等に基因するものなのかを分析する必要があるかと考えます。

 

例えば、鉄道新線新駅が設置されたということであれば、今後その地域は分譲マンションが多く建築されると予測され、マンション適地等との判断になるでしょう。

 

一方、同じ土地であっても経済が停滞気味とか、建築コスト上昇で建築にマンションの分譲価格が見合わずで「戸建分譲」が施行される時期もあると思います。

 

経済の状況は日々変わっていきます。10年前に建築されたマンションが存するからという理由でマンション適地等と判断してしまうのではなく、相続開始時点から将来に向けた状況を重視して最有効使用の判定を行い、マンション適地等への移行地の判断をすべきものと考えます。

分譲マンションだけが適用されるという考え方も

<元国税調査官の見解>

 

マンション適地等への移行地の判断は、「その地域」の判断が重要になります。

 

「その地域」におけるマンション適地等への移行地とは、人口の急激な増加などによる土地の高度利用が求められる地域要因が必要になります。

 

現実のマンションの建築状況ではなく「社会的、経済的、行政的」見地から判断してマンション適地と認められる場合を除き、現在進行形で現に建築中のマンションが多数存在しており、マンション敷地としての利用にその地域が移行しつつある現状で、その移行が進んでいる場合をいうものとされています。

 

「その地域」とは、国税庁「質疑応答事例集」にもあるとおり、原則として評価対象地周辺の①河川や山などの自然的状況、②土地の利用状況の連続性や地域の一体性を分断する道路、鉄道及び公園などの状況、③行政区域、④都市計画法による土地利用の規制等との公法上の規制など、土地利用上の利便性や利用形態に影響を及ぼすものなどを総合勘案し、利用状況、環境等が概ね同一と認められる住宅・商業・工業など特定の用途に供されることを中心としたひと固まりの地域を指すものをいいます。

 

この集合住宅には、「分譲マンションのほか、賃貸マンション等も含まれます。」とされているとおり、分譲マンションであっても、賃貸マンションであっても差異はなく、マンション適地等に含まれると解釈されています。

 

ただし、内部の意見の中にも、最有効使用(収益性)の観点から賃貸マンションが存立するのは、ごく一部の地域に限定されるため、分譲マンションのみだけがマンション適地等であるという考え方もあります。

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