前回は、クリニックの労務トラブルを回避する「雇用契約書」の作り方を取り上げました。今回は、採用における医師の負担を減らす「経営コンサルタント」の活用について見ていきます。

就業希望者の多くは近隣住民・・・面接時には配慮が必要

前回の続きです。

 

4次選抜は、私が一対一で面接を行います。私の仕事は最終的な人数調整なので、申し訳ないけれども、必要な人数以外の人には去ってもらうことになります。

 

このとき、注意しなければならないのは、クリニックの募集に応じてくれた人は、皆さんほとんどが近隣に住んでいる方ばかりだということです。いわば、クリニックのお客様となるかもしれない方々なのです。ですから、雇用できない人にも、絶対に恨みを買わないように、注意してそのことを伝えなければいけません。

 

たとえば私は面接のときに「申し訳ないけれども、ほとんどの人は私のところで落とさせてもらうことになっています。これはクリニックで雇える人数の関係でどうしようもないことなので、もし落ちたとしてもあなたが悪いわけではないので気にしないでください」と前置きしてから話を始めることにしています。そして、落ちてしまった人にも「次に欠員が出たら、必ず声をかけさせていただきます」と伝えています。

 

地域のクリニックにおいて、口コミの影響力はかなり大きいものです。買わないでもいい恨みを買う必要はありませんし、医療と関係のないところで評判を落とす必要もないのです。もしもこの役割を医師本人が行っていたら、面接に落ちた人は「あの先生に落とされた」というマイナスイメージを持つことになります。その点、こうした役まわりを私たちが担うことも重要なのです。

採用の最終的な決定権は院長先生に

最後に5次選抜として、院長先生と面接していただきます。

 

5次選抜は面通しのようなもので、これまで院長先生にノーといわれた例はほとんどありません。院長先生が選抜に悩む必要がないように絞り込むのが私たち経営コンサルタントの役割ですから、きちんと仕事ができている証左だと考えています。

 

だからといって、院長先生との面接をなしにすることはありません。最終的な決定権は院長先生が持っていることを明らかにする意味でも、5次選抜の面接は重要です。

 

このようにして、このクリニックではしっかりした面接のシステムを取り入れ、優秀なスタッフを採用することに成功しました。さらに、医師との間に私たちが入っているため、毎日の業務やスタッフのプライベートの悩みも話しやすい環境になっています。そのためクリニックでのスタッフ同士の雰囲気もよく、一度入社したら辞めるスタッフはほとんどいません。なぜなら、時短勤務や週1勤務など、結婚や出産といったライフステージにも柔軟に対応できる勤務が可能になっているからです。結婚して遠方に住む配偶者についていくといった場合を除いて、結婚や出産をしたスタッフも、長く快適に働いてくれています。

 

人事、労務に至るまで医師がすべて運営していては、こうしたことは時間の制限もあり決して実現できません。経営のプロである私たち経営コンサルタントが間に入っていることで、医師の負担ゼロで理想の医療環境が実現できるのです。

 

[図表]スタッフ面接の流れ

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