前回は、クリニックを強力なチームにする「スタッフ採用」のポイントについて解説しました。今回は、クリニックの労務トラブルを回避する「雇用契約書」の作り方を見ていきます。

雇用条件を話し合うのは3次選抜で

前回の続きです。

 

2次選抜は、実際に人事担当者として2人の女性が面接して、その後にペーパーで適性検査を行います。面接では、態度や所作や言動を見ます。クリニックは、院長先生を除けば女性の職場ですから、女性同士でうまくやっていける人、女性に好かれる人でなければ採用しません。また、接客業なので、人当たりがよいかどうかも判断ポイントになります。

 

2次選抜では、特に残す人数は決めていません。この人はよさそうだと感じた人は、次の段階に進んでもらうことにしています。逆にいえば「この人は無理だろう」と感じた人だけを落とすようにしていますが、「挨拶がなかった」とか「靴をそろえていない」とか、けっこう女性の目は厳しくて、ここで落とされる人は多いです。

 

3次選抜は、経営感覚を持っている男性が面接をして、雇用契約書を提示して、雇用条件について話し合いをします。お互いの希望が合わなければ、そこで縁がなかったと別れることになりますし、条件面が合えば次の段階に進んでいただきます。

雇用契約書に勉強会への参加を記載する意味とは?

雇用契約書は、独自のものを用意しています。ここで大切なのは、条件面に「ホスピタリティ教育を月2回行うこととし、これに参加するものとする。」との文言を入れておくことです。

 

雇用契約書に、勉強会への参加を記載しておき、面接でも説明しておくことで、後から出てくるかもしれない不満を抑えることができます。また、勉強会の様子はすべて参加者の許可を取ったうえで録画してあります。そして、勉強会のレポートは、記名してもらったうえで直筆で書いてもらい、半永久的に保存しておきます。

 

その理由は、万が一、その人との間で労務トラブルが起きたときに、私たちがきちんと説明と教育を行っていた証拠となるからです。仮に、弁護士を雇って訴訟を起こされたとしても、これだけきちんとした証拠があれば、負けることはありません。

 

読者の中には、労務トラブルは別世界のできごとだと思っている人もいるかもしれませんが、経営コンサルタントとして私は数多くの相談を受けています。労務訴訟を起こす人の中には、訴訟慣れしているセミプロもいるので、そのような人は最初から雇用しないのが一番です。

 

しかし、気づかずにうっかりそのような人を雇ってしまって、労務訴訟に巻き込まれてしまった場合、勉強会の録画やレポートが強力な武器になります。なぜならそこには「がんばります」「すみません」「ありがとう」という本人の言葉がしっかりと記録されているからです。本人が自ら「がんばります」といっているのに、強制的に働かされたといういい分は通らないですよね。

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    本連載は、2017年1月26日刊行の書籍『自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

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    市川 直樹

    幻冬舎メディアコンサルティング

    勤務医は慢性的な医師不足で時間外の労働が多く、給与も働きに見合わず、過酷な労働環境におかれています。 一方、そうした状況から理想の医療の実現を目標に開業する医師もいますが、都市圏のクリニックは今や乱立状態にあり…

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