スタッフの「経営感覚」を育み、クリニックの力を高めるには?

前回は、クリニックの集患を成功に導く「ホスピタリティ」の精神について取り上げました。今回は、スタッフの「経営感覚」を育み、クリニックの体力を高める方法を見ていきます。

定期的な勉強会で、理念の浸透とスキルアップを実現

ホスピタリティの理念をスタッフに浸透させるにはどのようにすればよいのか。一般の会社では、経営理念を作ってクレドとして暗記させたり、毎朝、朝礼で唱和させたりする手法がよく知られていますが、私はその手法はあまりスマートとはいえないと考えています。かたちばかり、言葉ばかりを覚えさせても、実際の態度や言動に反映されなければ意味がないからです。

 

人数の多い大企業ではそうでもしなければ全員に理念を浸透させることはできないのでしょうが、クリニックのように10人程度の組織であれば、もっと深いかたちでスタッフ一人ひとりの心に訴えかけることができるはずです。

 

そのための手段として、私の会社が考案したのが3種類の勉強会システムです。それは、組織力向上のための「大志の会」、感謝の気持ちを持つ「有志の集い」、そしてスタッフ同士のコミュニケーション力を高める「GSKセッション」の3つになります。簡単にいえば、大志の会では「がんばる」(成長意欲)、有志の集いでは「感謝」(環境意識)、そしてGSKセッションでは「すみません」(習慣改善)の気持ちを育てるものです。実は、私の会社の社名も、この「がんばる」(G)、「すみません」(S)、「感謝」(K)の3つのベクトルから来ているのです。

 

クリニックにおいて、院長は「経営者」、スタッフは「社員」と考えることができます。私の会社は、経営者と社員の間に中立的な立場で入り、お互いへの感謝の気持ちをうながして、協力し合える組織をつくる手伝いをしています。ちなみに、これらの勉強会はすべて勤務時間中に行われるので、参加は義務(勤務)ですし、給与(時給)も支払われます。スタッフの成長には、それだけの意味があるのです。

経営について、スタッフ同士で意見交換をさせる

「大志の会」は、毎回、経営に関するひとつのテーマについて、スタッフ同士で意見を交換し合うものです。組織の中のさまざまな立場の人が、フラットに意見を述べ合うことで、それぞれの成長をうながします。「大志の会」では、自らの実践に即した生の声をそれぞれが提供します。ですから、お互いに決して批判せず、相手の意見に素直に耳を傾け、共感し合うことを目標とします。

 

「大志の会」で話し合うテーマは、具体的にいえば、次の12になります。

 

●社会人とは何か

●給与とは何か

●日常管理とは何か

●サービスとは何か

●社長(院長)の右腕とは何か

●業務の標準化とは何か

●クレームとは何か

●商品とは何か

●社員(スタッフ)とは何か

●社内ルールとは何か

●会議とは何か

●価格とは何か

 

これらのテーマについて、ただ話し合うだけでなく、その話し合いで感じたことをレポートにして提出してもらいます。レポートの内容は、たとえば下記のようなものになります。

 

 

「大志の会」を通して、スタッフは組織の一員としての自覚を自然と高めていくようになります。もっといえば、「がんばろう」という気持ちを培い、各自の成長意欲を刺激することを目的にしています。

 

「大志の会」が目指しているのは、スタッフ全員が経営者である医師と同じ意識を持つようになることです。給与とは何か、管理とは何か、という質問は、本来は経営者だけが持つものですが、それを一人ひとりのスタッフが自問自答して、お互いに話し合うことで、院長先生と同じ感覚を身につけるようになります。

 

今、日本の中小企業では、後継者の不在が問題になり、後継者が見つからないために廃業する会社が増えています。これは、社員に対して後継者教育を行ってこなかったことが原因です。役員が空洞化している、社長の右腕がいない、といった愚痴をよく聞きますが、それは自業自得でもあるわけです。

 

では逆に「大志の会」のような教育を毎月行うとどうなるのか。一人ひとりの社員が、パートの方も含めて経営者感覚を持ってがんばれるようになれば、役員など必要なくなります。社長である院長がいて、あとは全員がパートでもクリニックは回るようになります。そうすれば、役員の人件費を全員に分けられるようになりますし、それで給与や賞与が増額になれば、みんなが喜びます。全員参加の経営は、無駄なコストを減らして、クリニックを筋肉質にすることにもつながっているのです。

 

「大志の会」を通して、私たちがスタッフに期待するのは次のようなことです。

 

●理念、思想を具体化し、働くことを生きがいにする

●良い商品を作り、売り、社会のためになっていると自信を持つ

●自らの役割を知り、喜んで自分から動く

本連載は、2017年1月26日刊行の書籍『自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

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連載自己資金ゼロで「儲かるクリニック」を開業する方法

株式会社GSKコミュニケーションズ 代表取締役

1971年生まれ。
1999年から労務を主にしたコンサルティング業務を行い、2004年、株式会社GSKコミュニケーションズを設立。
不動産賃貸業、管理・ソフトウェア開発のほか、飲食業や人材派遣、自動車販売業などさまざまな業種のコンサルティングに従事。さらに2006年4月より「大志の会」「有志の集い」「市川直樹塾」を主宰し、中小企業経営者に向けて講演会やシンポジウムなどを積極的に開催。これまで300社以上の中小企業経営者のコンサルティングに取り組んでいる。 2011年にはしいの木子どもクリニックを開業、クリニックと調剤薬局の経営コンサルティングを手がけ、開業以来5年間で約9万人の患者の集患に成功している。

著者紹介

自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法

自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法

市川 直樹

幻冬舎メディアコンサルティング

勤務医は慢性的な医師不足で時間外の労働が多く、給与も働きに見合わず、過酷な労働環境におかれています。 一方、そうした状況から理想の医療の実現を目標に開業する医師もいますが、都市圏のクリニックは今や乱立状態にあり…

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