余った電気を「売れない」ネット・メータリング制度

送電網と各家庭を結ぶ「ネット・メータリング」というシステムが導入され、太陽光発電がじわりじわりと広がり始めているスリランカ。今回は、そのシステムの仕組みと問題点をお伝えします。

14年末の導入実績は1,732世帯だが、今後の拡大に期待

ネット・メータリングでは、家庭での発電量が消費量を上回ったら、余剰電力を送電網に流すことになる。逆に消費量が発電量を上回ると、送電網から電力を引っ張ってくる。電力が余れば家庭から送電網に、足りなければ送電網から家庭へと、メーターは常に一方通行で動くことになる。引っ張った量と、送った量の差額分が電気料金として請求される仕組みだ。

 

ネット・メータリング・システムは2010年にエネルギー庁・セイロン電気委員会(CEB)・ランカ電力会社(LECO)そしてサステイナブル・エネルギー局(SEA)によって導入された。スリランカの消費者は最大で1メガワットまでの発電システムを作ることが許されている。SEAによると、160キロワット以上を消費しているか、4,500ルピー以上を電気代として支払っている家庭にとって、ネット・メータリングは有効だという。

 

2014年末時点ではネット・メータリングを導入しているのは1,732世帯で、それらの合計容量は13メガワットである。この数字は決して大きくはないが、前年比200%で増加しており、この流れは今後も続くと考えられている。

お金を「儲ける」ではく、出費を「抑える」システム

ネット・メータリングでは、余った電力を「売る」ことはできず、また誰かに「贈る」こともできない。送電網に流した分はポイントとして受け取り、送電網からの消費分をそのポイントで相殺させるのだ。このポイントの有効期限は10年である。

 

そのため自らの消費量と一致するだけの電力を発電するシステムを導入することが望ましい。消費分以上を生み出しても、その余剰分に対するリターンはないからだ。このことが自家発電によって利益を得ようとする企業家の思いを挫けさせる。これはお金を儲けるためではなく、出費を抑えるために作られたシステムなのだ。

 

ネット・メータリングは長期的には出費を大幅に減らせるという意味で、高い利益を得ることができる。それに加え、発電による環境破壊を抑止することにも貢献する。スリランカでは電力のうち60%が石炭・石油による火力発電で作られており、それが環境に深刻な影響を与えている。

 

しかしネット・メータリングは、消費者にとって直接的には影響がないが、重大な問題をもっている。CEBとLECOは、もっとも大きくなる夜間の電気需要に対応するため、コストが高い石油発電を稼動させなくてはならない。ネット・メータリングの利用者もこのピーク時には送電網から電力を引っ張っているのだが、彼らは昼間に送電網に流した電力と交換したポイントで電気を受け取っている。つまり低コストの電力を受け取る代わりに、高コストの電力を供給している構造が、ネット・メーラリングの構造的な問題となっている。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」2015年10月号に連載された「GeneratIng your own power」を、翻訳・編集したものです。

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『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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