「診察」と「予防接種」の受付時間を変えるメリットとは?

前回は、院内感染の予防を狙ったクリニックの設計事例を紹介しました。今回は、「病気の患者」と「予防接種の患者」の診療時間を変えるメリットについて見ていきます。

二次感染の予防だけでなく、薬品の余剰も防ぐ

地域医療を担うクリニックの収益の大きな柱として、予防接種があります。わざわざ総合病院に行って予防接種を受けようという人はそれほど多くありませんから、どこで受けても効果の変わらない予防接種は、街のクリニックには欠かせない仕事になっています。

 

この予防接種でも、差別化は可能です。たとえば、前回でも述べたように、クリニックや病院に行くと、二次感染が気になるものです。この二次感染を嫌がるがゆえに、病院に行きたくないという人も決して少なくありません。

 

そこで、前回ご紹介したクリニックでは、診察の時間と予防接種の時間を完全に分けて、予防接種の時間には、予防接種を受ける人だけが来院できるようにしました。病気の患者と予防接種の患者とを分離することは、二次感染の予防だけにとどまらないメリットがあります。

 

ご存じのように予防接種のアンプルは、1回分ずつ個別包装になっているわけではありません。薬品にもよりますが、3人分がひとつにまとまっていて、もし1人分や2人分しか使わなかったとしても、翌日などに持ち越すことはできず、余剰分は廃棄しなければなりません。しかし予防接種の時間を決めて、予防接種の希望者だけを集めると、同じ時間に多くの人数を集めることができますから、薬品の無駄が少なくなります。

医師が注射器を持ち、個室待合で待つ患者のもとへ

このクリニックではさらなる効率化を求めて、患者に診察室に来てもらうのではなく、個室待合に待機している患者のもとを、医師と看護師が注射器を持って回るスタイルにしました。

 

[図表]予防接種

 

その結果、予防接種を受けられる患者の数が大幅に増えました。実際、患者が出ていってから次の人を呼んで、とやっているよりは、医師が待合の個室を回った方がかなりスピードアップになるのです。すべての待合室を個室にしているこのクリニックだからこそ使える裏技ですが、もっと多くのクリニックが取り入れればよいのにと思わざるを得ません。

 

また、小児科ならではの話かもしれませんが、幼児の健康診断も頻繁にありますから、これも、病気の患者とは別の時間にまとめて行っています。同じ病院といっても、訪問する人は同じ目的を持っているわけではありません。それぞれの患者に細かく配慮した医療の提供こそ、街のクリニックに求められているものですし、大きな総合病院ではできない、小回りの利く街のクリニックならではのサービスといえるでしょう。

本連載は、2017年1月26日刊行の書籍『自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

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連載自己資金ゼロで「儲かるクリニック」を開業する方法

株式会社GSKコミュニケーションズ 代表取締役

1971年生まれ。
1999年から労務を主にしたコンサルティング業務を行い、2004年、株式会社GSKコミュニケーションズを設立。
不動産賃貸業、管理・ソフトウェア開発のほか、飲食業や人材派遣、自動車販売業などさまざまな業種のコンサルティングに従事。さらに2006年4月より「大志の会」「有志の集い」「市川直樹塾」を主宰し、中小企業経営者に向けて講演会やシンポジウムなどを積極的に開催。これまで300社以上の中小企業経営者のコンサルティングに取り組んでいる。 2011年にはしいの木子どもクリニックを開業、クリニックと調剤薬局の経営コンサルティングを手がけ、開業以来5年間で約9万人の患者の集患に成功している。

著者紹介

自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法

自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法

市川 直樹

幻冬舎メディアコンサルティング

勤務医は慢性的な医師不足で時間外の労働が多く、給与も働きに見合わず、過酷な労働環境におかれています。 一方、そうした状況から理想の医療の実現を目標に開業する医師もいますが、都市圏のクリニックは今や乱立状態にあり…

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