今回は、賃貸借契約書の「特約」として、仲介業者に入れてもらう内容の例などを見ていきます。※本連載は、株式会社リーシングジャパン代表取締役・沖野元氏の著書『大家さんのための客付力』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、客付けを成功にさせるために必要不可欠な、大家の営業戦略を紹介します。

大家が契約書を用意するのは難しいが…

前回の続きです。

 

続いて「契約書の特約に入れる内容」です。一般媒介の場合は、複数の業者に媒介を頼むことになります。この場合は、それぞれの会社で客付けを行った際には、それぞれの会社の契約書を使用することになります。契約書が同じ仕様であれば問題ありませんが、たいていはばらばらです。A社で契約ならA社の書式、B社ならB社の書式といった具合になります。

 

では、大家が統一した契約書を作ればよいのかということになりますが、これはこれで面倒なものです。自分で作るというよりは、弁護士に作ってもらうことになります。つまり手間とお金がかかります。さらに業者は自分たちの契約書が使えないことに対して不満に思うでしょう。反発があるかもしれません。

 

そこで契約書を作るのではなく、特約に入れてもらう項目をこちらから明確に示すのです。各社の契約書を見ると、条文の書いてある約款の部分はそんなに大差のない内容となっています。契約書は事前にチェックさせてもらうと同時に、特約に入れてほしい内容を伝えます。内容の例としては次のようなものです。

 

●基本クリーニングにかかる費用は借主負担とする

●経年変化による損耗は貸主負担とし、それ以外の借主の故意・過失によるものは借主負担による原状回復を行うこととする

●たばこのニオイ、ヤニが認められた場合は、すべて借主負担でのクロス貼り替えおよびエアコン内部洗浄を行うこととする

●夜10時以降に洗濯機を動かすことは他の入居者の迷惑になるため禁止する

等々、通常は約款に入ってないものを入れると良いでしょう。

募集要項はA4の紙1枚に収める

次に「広告料」についてです。広告料については後ほどくわしく書きます。ここでは契約が決まった際に広告料として成約賃料の1ヶ月分をお支払いするという旨の記載を必ず入れます。

 

また、「U・S・P」は募集要項にも記載しておきましょう。そしてこれらは業者が募集図面を作る場合に、必ず入れてもらうようにすることです。

 

後は大家としての連絡先やその他があれば記載します。たとえば滞納保証会社について指定の会社があれば、希望として入れても良いでしょう。繰り返しますが、この募集要項はA4の紙1枚にまとめることが重要で、2枚以上にならないようにしてください。要点をまとめてシンプルに伝えないと伝わりにくいからです。

物件のメリットもデメリットも明示する

最後に3点セット作成のポイントをお伝えします。大家なら誰でもそうですが、自分の物件がいかに良いかを強調しがちです。そして悪い点は隠したり、見せたくはないものです。これは不動産に限ったことではありませんが・・・。

 

お客さまは馬鹿ではありません。どんな人でもメリットとデメリットを比較して検討したいと思うでしょう。そうした時にデメリットを明確に示したほうが信頼性が高くなります。これはたとえばネットオークションなどでもそうですが、自分で使用した中古品を出品する際に、キズのある部分の写真を示すことが極めて重要になります。ネットでは手に取って見ることができないのでなおさらです。物件も一度さらっと見ただけではわからないものです。

 

堂々とメリットとデメリットを示し、後はお客さまに判断してもらえば良いのです。こういう姿勢はお客さまの信頼を勝ち取るために不可欠となります。

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