不動産投資のプロは何を基準に物件を評価し、買っているのか?  本連載では、キャピタリー・アドバイザリー株式会社の不動産投資部長・和田一人氏の著書『儲かる不動産投資の教科書』(扶桑社)の中から一部を抜粋し、本当に価値のある不動産を見分ける理論的な評価方法を、初心者でもわかりやすい事例とともに紹介します。

同じ間取りで利回り10%と15%、儲かるのはどっち?

おそらく、ほとんどの人が15%の物件だと思ったことでしょう。あるいは、「常識的に考えれば15%のほうだが、問題に出すぐらいだから10%のほうかも?」と深読みしたかもしれません。

 

確かに15%の利回りを確実に得られるなら非常に魅力的ですが、その保証がないのが不動産投資の世界です。

 

定期預金のように元金と利息の支払いが約束された金融商品なら、利回りは高ければ高いほど有利になってきます。ところが、不動産投資の場合はその常識がまったく通用しません。

 

反対に、利回りが高ければ高いほどリスクも高くなるのです。どうしてそのような高い利回りになるのかについて、きちんと分析したうえでよしあしを判断しなければ、大きくアテが外れかねません。それなりの理由があるからこそ、利回りが高くなっているということです。

 

また、一時的に高い利回りになることもあるので、そのようなケースに引っかかるのも後悔のもとです。不動産投資とは、10年、20年といった長期のスパンで取り組むものですから、利回りについてもそういった視点から捉えるべきでしょう。

高利回り=賃料収入の安定性が低い

冷静に考えてみれば、リスクが高ければおのずと利回りが高くなることがわかります。仮に、高利回りでありながら、リスクが小さいという物件があったとします。当然ながら、誰もが買いたくなるはずです。すると、買い手が殺到するので、物件価格はおのずと高くなります。そんなに人気があるなら、できるだけ高く売ろうと持ち主が考えるからです。

 

その結果、物件価格が高くなった分だけ、利回りは下がってしまいます。

 

10%のほうはすでに満室で「現況利回り」なのに対して、15%のほうは、満室になった場合の想定利回りで、ずっと空室が発生していて30%しか稼働しておらず、現況利回りは5%という場合もあります。

 

その場合は、少しでも早く空室が埋まるように賃料の見直しが必要となります。見直した結果、満室になっても10%以下の利回りにしかならないということも珍しくありません。想定した賃料が妥当でなかったり、空室発生リスクを過小評価すると大変なことになります

 

さらに、入居者を誘致するための経営努力が求められ、自分の時間をより多く割く必要に迫られることになるのです。また、賃貸物件情報サイトに広告を打つコストなどの広告宣伝費をオーナーが負担する可能性もあり、そうなればおのずと利回りは低下します。

 

えてして空室が発生しがちで、賃料の引き下げを避けられないような物件の利回りが高くなりがちです。

 

つまり、利回りが高ければ高いほど、賃料収入の安定性が低いのです。

 

[Point!]

利回りが高いほどリスクも高い。

リスクの見落としや過小評価に注意!

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    本連載は、2016年2月刊行の書籍『儲かる不動産の教科書』から抜粋したものです。その後の法律、税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

    儲かる不動産投資の教科書

    儲かる不動産投資の教科書

    和田 一人

    扶桑社

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