今回は、「お金の話を前面に出す候補者」の性格を考察します。※本連載は、半蔵門パートナーズ・社長で、自身も日本を代表する現役のヘッドハンターとして活躍する武元康明氏の著書、『会社の壁を超えて評価される条件』(徳間書店)の中から一部を抜粋し、経営者の目線で「一流人材の条件」とは何かを見ていきます。

面談早々、給与について質問する候補者がいるが・・・

お会いして早々から、ご自身の転職後に用意されている給与について質問をされるかたが、ごく稀にいらっしゃいます。しかし、その質問にお答えすることはできません。なぜなら、その時点では給与の金額は確定していないからです。

 

もちろん、このポジションで働いてもらえる人、こういう経歴や実績のある人物を求めているといった要望があるなかで、クライアント企業との間ではある程度のバッファーを持たせた給与額は想定していますが、最終的には候補者との面談を重ねていくなかで、あるいはクライアント企業との最終面談によってそれは決定するからです。

 

ただ、私が面談をしてきたなかで、「いくら欲しい」と最初から要求してきたかたは今のところほとんどいらっしゃいませんし、逆に候補者側から「これ以上だったらいいよ」と金額を提示してくるケースもごく少数です。

 

おそらく、外資系企業の社員をターゲットにする欧米型ヘッドハンターであれば、まず最初に金額の条件提示をしてから交渉を始めたり、ターゲットとなる候補者のほうから処遇に関するリクエストを挙げてくるケースも多いことと思います。

 

しかし、私たちは日本企業からの依頼が中心となる和製エージェントですから、欧米型ヘッドハンターとは交渉のスタイルが異なりますし、私たちの前に現れる候補者も、自分から処遇や年収のリクエストをする人はほとんどいません。

処遇や役職への固執は「利己主義・個人主義」な印象に

また、日本の大手企業のなかには、「お金の話を前面に出す者はいらない」という姿勢で、そういう人は最初から候補者から外すようにしているケースもあります。

 

これは、お金を払えないということではなく、お金目当ての入社をいかに排除するかを考えてのこと。要するに、「お金で動く人間は、お金で転ぶ」、愛社精神を持てない人物と評価されてしまうのです。

 

もちろん、生活するうえでお金が重要であることは言うまでもありません。ましてや就学中のお子さんがいるかたは教育費などの支出もあり、収入が多いに越したことはありませんが、それを必要条件としてまず最初に持ちだすようでは、その候補者の人間性が疑われてしまうというものです。

 

面談を繰り返していくなかで、処遇や役職など自分の条件に固執する態度を示してくるかたもいるのですが、利己主義、個人主義と判断されてしまいがちです。公共心、公徳心が薄いというマイナスの評価を受けてしまうことになるでしょう。

 

さらに好ましくないケースとしては、自分のこれまでの実績や年収を偽ってしまうことも挙げられます。

 

確かに、少しでも自分を大きく見せたい、評価されたいという気持ちはわからないではありませんが、嘘がばれてしまったとき、あなたは候補者リストから即外れることになるでしょう。間違いなくヘッドハンターは、その嘘を見抜いているはずですから。

 

日本企業は仕事の実力以上に、「信用信頼できる人かどうか」という信頼性を重視しますから、小さな嘘も信用を失う大きな原因となってしまうのです。

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