「自己プロデュース能力」に長けた人材とは?

今回は、「自己プロデュース能力」の長けた人材について考察していきます。※本連載は、半蔵門パートナーズ・社長で、自身も日本を代表する現役のヘッドハンターとして活躍する武元康明氏の著書、『会社の壁を超えて評価される条件』(徳間書店)の中から一部を抜粋し、経営者の目線で「一流人材の条件」とは何かを見ていきます。

自己プロデュースに長けた人材は「全体の2割程度」!?

一流と評されるビジネスパーソンは、プレゼンテーション能力に加え、自己プロデュースも上手なイメージを持たれているかたが多いかもしれません。アメリカ映画などに登場するビジネスエリートからは、まさにそんな印象を受けますが、果たして日本ではどうなのでしょうか?

 

私の実体験の範囲ではありますが、自己プロデュース能力に長けているかたは、そう多くいるわけではないと思っています。

 

ビジネスの世界には「2―6―2の法則」というものがあります。上位2割は優秀なグループ、中位6割は上位にも下位にも属さない平均的なグループ、下位2割は実績も生産性も低く積極的に行動しないグループ。一定の集団をこの3段階で分けるという考え方です。

 

この法則を借りるなら、自己プロデュース能力に長けた人材だと私が感じたのは、全体の2割程度にすぎません。

 

候補者をピックアップする最初の段階で、私たちが得られる情報のほとんどは「技」の部分であることは前述したとおり。まずはその情報から判断して候補者へのアプローチを開始するわけですが、実際には、あらかじめ入手していたそのかたの評判が本人の力量ではなく、会社や組織の看板によるところが大きいというケースも少なくはありません。

 

しかし、中小企業が行う採用を例に考えてみると、やはり大手企業の看板の威光は大きく、候補者の本質ではなく社名で採用を判断するケースが多々見られるのも事実です。

 

もちろん大手企業の看板に甘えず、ご自身の資質や能力を理解したうえで他の企業で力を発揮されるかたも多くいらっしゃいます。そこの部分が一流になるかたと、そうではないかたとの分岐点なのかもしれません。再び「2―6―2の法則」に立ち返って考えれば、大手企業に勤めているからといって上位2割のカテゴリーに属するというわけではないということです。

 

こう考えますと、評価できる人材として私たちがクライアント企業に自信を持って斡旋できる人材は、やはり2割程度。同じく「2―6―2の法則」に当てはまります。

アグレッシブさは「リスクヘッジの怠り」と隣り合わせ

私が考える、自己プロデュース能力に長けたかたとは、自分のパーソナリティをしっかり分析できていて、自分の能力、強みや弱みも十全に理解している。そのうえで、強みを最大限発揮できるようなパフォ―マンスを見せることができる人です。

 

また、そういうかたほどご自身の将来のビジョンを明確に持っています。ビジョンが明確であるがゆえに、将来における期待と不安の両方をすでに予感されているのだと思います。未来への危機意識を持っているかたは、深く自己分析できているとも換言できるでしょう。

 

逆に、将来は一切の曇りもなく明快であると胸を張られるかたもいますが、前述の理由から、こういうかたに関しては、私は懐疑的になってしまい、信頼できる人物には思えないのです。ことビジネスの世界において、「絶対的な安定」など存在しないのですから、攻めに出る一方でリスクヘッジも怠らないのが鉄則です。同じことが人生にも言えると思います。

 

ビジネスと人生は違う、と考えているかたもいるでしょうけれど、私はそうは思いません。まだ年齢的に若く、社会人としてのキャリアもないかたであれば別ですが、部下を持ち役職に就いているようなかたは、周囲から人格や人間性といった「心」の部分を問われるものです。

 

アグレッシブに仕事に取り組む姿勢を持っていることは非常に魅力的ではありますが、その行動に対して何のリスクヘッジの意識もないようでは、ビジネスパーソンとしての常識性に欠けると言わざるをえません。つまり、「心」のどこかが欠けているということなのです。

 

アグレッシブさは、エネルギーに溢れた魅力的な人間に映るものですが、どこか危うさも周囲に感じさせてしまいます。大胆さの裏に秘めた細心さがあるかどうか。その二つを併せ持った人材であることが重要となりますし、それをしっかり見極めることのできる力量こそ、私たちヘッドハンターには問われているのです。

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連載経営者の目線で見抜く「一流の人材」の条件

半蔵門パートナーズ 社長

1968年生まれ、石川県出身。
日系・外資系、双方の企業(航空業界)を経て、19年の人材サーチキャリアを持つ、経済界と医師業界における世界有数のトップヘッドハンター。日本型経営と西洋型経営の違いを経験・理解し、企業と人材のマッチングに活かしている。
クライアント対応から候補者インタビューまでを自身で幅広く手がけるため、全国各地を飛び回る。
2003年10月にサーチファーム・ジャパン設立に参加、08年1月に社長、17年1月~3月まで会長就任。
現在、半蔵門パートナーズ代表取締役。大阪教育大学附属天王寺小学校の研究発表会のほか、東京外国語大学言語文化学部でのビジネスキャリアに関する講演などの講師としても活躍。

著書に
『会社の壁を超えて評価される条件:日本最強ヘッドハンターが教える一流の働き』(徳間書店)
『ヘッドハンターはあなたのどこを見ているのか』(メディアファクトリー新書/KADOKAWA)
『ザ・ヘッドハンティング 未上場でも、知名度がなくても、優秀な人材は採用できる!』(日本法令)

著者紹介

会社の壁を超えて評価される条件

会社の壁を超えて評価される条件

武元 康明

徳間書店

ヘッドハンティングの最前線で求められる一流ビジネスパーソン、彼らはなぜ高評価されるのか。クライアントからの依頼に独自の情報分析に基づく人材を探し、転職マッチングを行うサーチ型ヘッドハンティング。その業界で国内最…

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