海外貸出しを拡大する日本金融界の現状

今回は、海外貸出しを拡大する日本金融界の現状を見ていきます。※本連載は、銀行、証券、保険など金融機関を中心に30年以上の豊富な取材経験をもち、現在も各種媒体で健筆をふるうジャーナリスト・齋藤裕氏の著書、『金融業界大研究』(産学社)の中から一部を抜粋し、銀行、証券、生命保険、損害保険各業界の最前線を徹底レポートします。

欧米の金融機関が、海外戦略を縮小する隙に・・・

米国発のリーマンショック以降、欧米の金融機関は海外戦略を縮小したが、その隙をついて海外貸出しを拡大させて勢力を伸ばしたのが日本の金融界。

 

とくに3大メガバンクのうち、一番精力的に動いたのが三菱UFJグループ。2016年3月末の連結海外貸出し額(海外支店+米国など海外現地法人)は約43兆円(前年度比1兆3000億円増加)で、国内住宅ローン向け貸出し15兆5000億円の約2.8倍。国内法人向け貸出し43兆8000億円に次いでいる。

 

ちなみに2013年9月末と比較すると、国内法人向けが約3兆4000億円増なのに対して、海外向けは約14兆2000億円増加している。

 

一方、三井住友グループも、アジア・米州・欧州の3地域を軸に海外は重要な戦略地域だ。グループの2016年3月期の部門別業務純益を見ると、国際部門は3979億円と3年連続増益。国内ホールセール部門の4218億円には及ばないが、リテール部門983億円の4倍強、グループ全連結業務純益1兆1429億円の実に34.8%を占めている。もはや、海外部門は収益の大きな柱になった。

証券界では、企業によって海外戦略に大きな違いが

証券界では、海外展開の先頭を走ってきた野村グループが、海外部門の大リストラを実行している。欧州では株式のリサーチ、営業、トレーディング、引受業務からの撤退を計画している。「トップテンのグローバルの旗を」の目標を今後掲げるか、つまり、再度海外戦線を拡大するかどうかは未知数だ。

 

大和証券グループは、三井住友グループとの合弁解消後、組織再編を進めてきたが、その一つが海外事業の再編。営業収益の約9割を国内業務に依存しているが、今後はアジアでの業務拡大を目指して積極的なアライアンスを行なう方針だ。

「その他」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

「エトセトラ」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

連載ますます混沌としてきた「金融業界」――その最新動向を探る

ジャーナリスト

1947年、福島県生まれ。金融・経済専門情報誌の編集長を経て、1999年に独立。現在は、フリーランスとして執筆・評論を行っている。銀行、証券、保険など金融機関を中心に30年以上にわたる豊富な取材活動を基に『中央公論』(中央公論新社)、『エコノミスト』(毎日新聞社)などで健筆をふるう。
主な著書に『大合併時代の金融業界再編成』(東洋経済新報社)、『銀行が2分の1消える日』(中経出版)、『証券はどうなる』(ダイヤモンド社)、『投資銀行業界大研究』『産業と会社研究シリーズ 銀行』(共に産学社)など多数。

著者紹介

金融業界大研究

金融業界大研究

齋藤 裕

産学社

ますます混沌としてきた世界経済の中で国内の金融業界各社の経営戦略はどうなっていくのか? 銀行、証券、生命保険、損害保険各業界の最前線と各社情報を徹底レポート! 基礎知識から最新動向まで業界研究に最適! 金融業界…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧