今回は、空き家管理の実践として、屋内外の清掃・郵便物対応などについて見ていきます。※本連載は、一般社団法人 大阪府不動産コンサルティング協会(会長・米田淳氏、理事・井勢敦史氏・岡原隆裕氏、会員・芳本雄介氏/他)の編著、『空き家管理マニュアル』(建築資料研究社)の中から一部を抜粋し、近年深刻化する空き家問題について、その「管理」の具体的なポイントをご紹介します。

郵便物や広告の投函物の処理方法は事前に打ち合わせを

前回に引き続き、空き家管理の建物管理について見ていきます。

 

(3)清掃

 

空き家管理の清掃業務には、屋内、屋外別に次のような清掃項目があります。

 

①屋内清掃

●室内のホコリ取り

●床面掃き拭き清掃

●サッシ及びサッシ廻りの拭き清掃

●水廻り拭き清掃

●建具の拭き清掃

●その他

 

②屋外清掃

●敷地内のごみや落ち葉の処理

●玄関、アプローチ、ガレージ内などのホコリ取り

●犬や猫の糞尿処理

●排水会所や側溝のごみや泥の処理

●前面道路部分のごみ処理

●その他清掃業務によるごみ等は、持ち帰るのが基本です。

 

(4)郵便、宅配便とメール便

 

空き家管理において、空き家に届く郵便物等の処理を取り決めておくことは大切ですが、郵便物等が空き家に届かないよう、郵便物の転送サービスがありますので、その内容から紹介します。

 

①郵便物等の転送サービス

ⅰ)郵便局(JPエクスプレス)転居・転送サービス(無料)

近くの郵便局の窓口に転居届を出しておくだけで、1年間、旧住所あての郵便物等が新住所に無料で転送されます。また、期間終了時には更新が可能です。

※転居届の提出時必要書類など、詳しくは最寄りの郵便局または郵便局ホームページで確認できます。

※インターネットで転居届の申し込みができる「e転居」(無料サービス)があります。※転送の可否は、次の通りです。(平成28年8月31日現在)

 

 

ⅱ)ヤマト運輸 クロネコメンバーズ 宅急便 転居転送サービス(無料:平成28年8月31日現在)

旧住所に届いた宅急便を、自動的に新住所へ無料で転送するサービスです。サービス開始から1年間転送されます。このサービスも、期間終了時に更新手続きが可能です。

※サービス利用登録の申し込み方法、サービス内容などは、ヤマト運輸営業所やホームページなどで確認して下さい。

※職場への転送、出張・旅行等による一時滞在先への転送、入院先病院への転送等、転居以外の事由による転送は利用できません。

※クロネコDM便は転居転送サービスの対象外です。

 

ⅲ)その他宅配便

その他主要な宅配便会社の宅配便サービスで、公式の転送サービスは確認できていません。

 

②投函物の整頓・処分の取り決め、送付サービス

前述のように、郵便物等の全てを転送できないことから、一部の郵便物等を依頼者の指定先に送付するなどのサービスを、空き家管理に付随して提供することが考えられます。

 

また、依頼者に送付しないとしても、宛名のある投函物の処理を取り決めしておかないと、管理の手間が増え、あるいは依頼者等とのトラブルに発展しかねません。このため、空き家管理業務委託契約には、郵便物・広告などの投函物の処理方法について、あらかじめ定めておくことが大切です。

位牌は菩提寺に預けられるケースも

(5)仏壇

一人暮らしをしていた居住者が高齢者向けの住まいなどに転居し、留守宅に主が戻ることなく長期間放置されたり、両親・祖父母の死後に、遠方に居住する相続人がその住まいを空き家にしたりするケースでは、仏壇の処理が問題になることがあります。

 

核家族化により、独立した子らはすでに住まいを持ち、あるいは勤務先等の事情によって、その空き家に入居できないことは少なくありません。このような場合、先祖代々の仏壇や親・身内の荷物の整理は、子らにとって心の負担が大きく、他人に任せることもできないまま時間が過ぎていきます。そこで、空き家にある仏壇に関し、所有者等に助言提案するための基礎知識を以下に示します。

 

空き家に仏壇(位牌)がおいてある場合の対処法

 

住まない家に位牌を置いておくのは好ましくありません。しかし、一人暮らしをしていた親が介護施設や老人ホーム、高齢者向けの住まいなどに転居してしまいますと、仏壇をそのままにしておくことしかできず、対応に困るところです。

 

そのようなときは、いずれの宗派であれ菩提寺(檀那寺)に相談するよう助言しましょう。菩提寺に位牌を預け、彼岸や盆に位牌を持ち帰って祭祀を行うようにしてもらえることがあります。

※必ずしも、すべての菩提寺が引き受けてくれるわけではありません。

 

祭祀承継者が仏壇を引き取り、現在の住まいに移動する場合、一般的にはご先祖の霊魂を仏壇から抜いたり入れたりする「魂抜き」「魂入れ」というものを行います。数年後に利用する予定がある空き家の場合、仏壇の「魂抜き」をし、位牌のみを引っ越します。

 

また、自宅が手狭で仏壇が大きすぎることがありますが、そんな時は小型の仏壇を購入し、位牌を移すことができます。縁のあるお寺に連絡して、実家の仏壇から新しい仏壇へご本尊を移す法要を行います。移動と同じように、魂抜きの法要、魂入れの法要をし、魂を抜いた古い仏壇を「ご供養・お焚き上げ処分」します。

 

一人っ子同士の結婚や長男長女の結婚では、家に仏壇が2つということも起こります。宗派によっては、よいことではないとの説明がされることがありますので、菩提寺に相談する必要があります。

※定期借家などにより、建物を一定期間賃貸する場合には、仏壇の「魂抜き」をして位牌のみを引っ越すことが多いようです。また、このとき、仏間に壁を新設して完全に賃貸スペースから分離するなど、貴重な仏壇を保護する工夫をしているケースもあるようです。

本連載は、2017年1月15日刊行の書籍『空き家管理マニュアル』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

空き家管理マニュアル

空き家管理マニュアル

一般社団法人 大阪府不動産コンサルティング協会

建築資料研究社

2016年5月26日、「空家対策等の推進に関する特別措置法」が全面施行されるなど、空き家問題を取り巻く状況が変化してきている。 不動産事業者はこの状況にどう立ち向かっていくべきか? 本書は、空き家対策の3本柱「利活用」…

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