本連載は、株式会社K'sコーポレーション代表取締役の樋爪克好氏、さいたま新都心税理士法人代表社員で、公認会計士/税理士の河合明弘氏、弁護士の武藤洋善氏の共同著書、『大家さんのための空き部屋対策はこれで万全!!』(三和書籍)から一部を抜粋し、大家業を営むなかで向き合わねばならない様々な問題と、その解決策を紹介します。

不動産屋に仲介も管理も依頼している場合は要注意

「借り主が退去したあと、何カ月経っても部屋が埋まらない」

 

そんな声をよく耳にします。

 

「ちゃんと、昔からおつきあいのある不動産屋さんに頼んでいるんだけどね」

 

半年はおろか、一年たっても借り手がつかないことは、今やザラです。どうしてこんなことになるのでしょうか。不動産屋さんに聞いても、あまりおおっぴらに語ってはくれませんが、ちゃんと理由があります。

 

実はこのようなことは、頼んでいる不動産屋さんが「仲介」と「管理」の両方を同時に受けているケースで起きやすいのです。

 

不動産の管理によって得られる費用は、たとえば賃料六万円の部屋で管理費が五%なら、ひと月当たり三〇〇〇円です。一方、契約が一件成立したときに得られる手数料は、借り手からの手数料が一カ月分、大家さんからの手数料(広告費)が一カ月分で、六万円×二=一二万円です(いわゆる両手仲介のケース)。

 

一件の契約を成立させるときに得る金額を管理で得ようとすると、一二万円÷三〇〇〇円ですから、四〇カ月かかることになります。そうなると不動産屋さんも商売ですから、いきおい新規の契約獲得に主眼をおくことになります。理の当然というものです。管理はおまけなのです。

商売敵に利益を譲らないため、物件情報を隠すことも…

ここからがかんじんなところです。契約を獲得すれば利益がでるのだから、不動産屋さんは力を入れて取り組んでくれる、そうお思いになると思います。実際、不動産屋さんもそうしたいのはやまやまでしょう。でも残念ながら、そうはならないのです。

 

不動産屋さんは、まず自分の店舗を通じて物件を公開し、借り手を探します。昔ながらのやりかたですが、昔ならこれでたいがい決まっていました。この場合、加盟する流通機構などを通じてほかの不動産屋さんにも情報が流れます。

 

加えて、今はインターネットで部屋を探す時代です。不動産屋さんも自社サイトを通じて公開します。同時に加盟する流通機構や大手の会社を通じて公開します。

 

これだけやっていれば決まりそうなものですが、それが決まらないのです。

 

前に記した一二万円というのは、貸し手も借り手も自社で直接あつかった場合の話です。ほかの会社に借り手を紹介してもらった場合、借り手からの手数料は、そちらにいってしまいます。

 

そこで、情報を公開してもほかの不動産屋さんからの問い合わせには応じずに「囲いこむ」ことがあるのです。問い合わせがあるということは、借り手がありそうな物件の証拠です。なら、自分のところで借り手が見つかるまで寝かしておけばいいと考えるのでしょう。商売敵に利益を譲るくらいなら、抱えておけということです。

 

ひどいところになると、公開そのものをせず、文字どおり「囲い込んで」しまう場合もあるようです。

 

囲い込んだ不動産屋さんに、自力ですばやく借り手を見つけるだけの力があれば、それでもいいのかもしれません。でも、いまどき街の不動屋さんにそれだけの力があるわけでもありません。結局、借り手は見つからずに一年が過ぎるということになるわけです。

 

これを解決するには、すみやかにできるだけ多くの不動産業者、それもネット上で借り手に頼りにされている複数の大手の業者に情報が行き渡らせることが必要です。でも、それはやってもらえないことが多いのです。

大家さんのための空き部屋対策はこれで万全!!

大家さんのための空き部屋対策はこれで万全!!

樋爪 克好,河合 明弘,武藤 洋善

三和書籍

本書には、筆者が父から家業を引き継いだときに直面した出来事や、その後、家業を手がけるなかで向き合わねばならなかった多くの問題と、その解決策が示されています。大家さんとひとくちに言っても、経営の規模、目的から現状…

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