今回は、被相続人名義の「銀行の残高と取引記録」を確認する方法を見ていきます。※本連載では、税理士法人FP総合研究所 代表社員・税理士の山本和義氏の共著書『相続財産がないことの確認 ー見落としてはいけない遺産整理業務の要点』(TKC出版)の中から一部を抜粋し、相続税の申告義務の有無に関わらず必要となる、相続財産が「ないことの確認」の必要性について解説します。

金融機関の取引記録の管理については法律で規定

金融機関の取引記録は、会社法第432条第2項で10年間保管しなければならないとされています。また、平成30年からは、預貯金口座にマイナンバーが付番され、銀行等がマイナンバーで管理することを義務付けることとされましたが、個人である預金者へ、銀行にマイナンバーを通知する義務は課さないこととしています。

 

しかし、銀行取引は預貯金だけに限りません。投資信託や国債、地方債などの証券取引全般、マル優・マル特の制度の利用、外国送金などを行う際に、平成28年からマイナンバーの提示が必要とされています。

 

犯罪による収益の移転防止に関する法律
(確認記録の作成義務等)

第6条 特定事業者は、取引時確認を行った場合には、直ちに、主務省令で定める方法により、当該取引時確認に係る事項、当該取引時確認のためにとった措置その他の主務省令で定める事項に関する記録(以下「確認記録」という。)を作成しなければならない。

 

2 特定事業者は、確認記録を、特定取引等に係る契約が終了した日その他の主務省令で定める日から、7年間保存しなければならない。

 

■会社法
(会計帳簿の作成及び保存)

第432条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。

 

2 株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から10年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。

すべての取引に関する「残高証明書」の入手

相続手続きでは、金融機関から相続開始日における残高証明書を入手します。残高証明書を入手する目的は、相続開始日における預貯金等の残高を確認することだけではありません。その金融機関とのすべての取引に関する残高を確認することが主たる目的です。

 

そのため、預金残高だけの証明書を請求するのではなく、すべての取引に関する残高証明書を金融機関に請求しなければなりません。預金以外に借入金があれば、その残高も証明書に記載されるはずですし、出資金なども同様に証明書に記載されます。

 

銀行でも国債や投資信託等を販売しているところが多くありますので、その残高の有無にも注意を払う必要があります。また、残高証明書を請求した支店以外の支店の取引等についても、同時に確認するようにします。

口座開設届出書と届出印の写し

口座開設届出書や届出印の印影の写しを入手できれば、誰がその口座を開設したか、届出印は被相続人が使用していたものと同じものではないか、などの確認をすることができます。このことは、名義預金を判定する場合の重要な要素の一つと考えられます。

本連載は、2016年12月刊行の書籍『相続財産がないことの確認 ー見落としてはいけない遺産整理業務の要点』から抜粋したものです。その後の法律、税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

相続財産がないことの確認―見落としてはいけない遺産整理業務の要点

相続財産がないことの確認―見落としてはいけない遺産整理業務の要点

山本 和義

TKC出版

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