前回は、経営改善のために見極めたい「カットする」ものと「残す」ものについて取り上げました。今回は、営業マンを追い詰める「経営者の焦り」という問題について考えていきます。※本連載では、自社の営業担当者を「売れる営業マン」にするにはどうすればよいのか、具体的なノウハウとともに紹介します。

本来、業績不振に陥る要因は複合的なはず

前回の続きです。

 

では、もう一つの「営業のノルマ増」についても考えてみます。「一刻も早く経営を立て直さなければ」と経営者が焦ると、その矛先は営業マンに向かってしまいがちです。

 

長く営業畑でやってきた経験から実感としてわかるのですが、業績不振に陥る要因は本来は複合的にあるはずですから、いろいろな観点から原因を究明しなければなりません。しかし、直接売上に直結する営業が悪いと手っ取り早く判断されがちです。簡単に言えば「売上が上がらないのは、営業が仕事を取ってこないからだ」となるわけです。

 

営業は外回りの仕事がほとんどで仕事の実態が見えにくく、「あいつ、本当に真面目に営業回りをしているのか」と疑われやすいこともあります。営業成績の数字が悪いと、それだけで「サボっているんだろう」と決めつける上司もいました。

 

この上司の気持ちもわかります。以前の私もそうでした。確かにサボっていて成績が上がらない営業マンは多くいると思います。この疑わしく重い感情をコントロールするために私が自分に言い聞かす意味で決めたことは、「真面目に仕事をしていて売れないのは会社の責任」「サボりたい気持ちに打ち勝てるように、仕事の魅力を伝えるのは私の責任」と。

いくら優秀な社員を残しても、少なすぎる人員では…

今は真面目に営業をやっていても売れにくい時代です。気合と根性で押し切れた、大量生産・大量消費時代とは違うからです。

 

営業職は専門職に比べ補充が利きやすい職種でもあるので、多くの会社で売れない営業マンのリストラや成果給制度の見直しが始まります。成績のいい営業社員だけを残して、あまり芳しくない社員はサヨウナラ。その結果カツカツの人数で営業をすることになります。そして、「売上を上げてこい!」と檄が飛ぶのです。

 

それでもデキる営業マンたちが頑張れば少ない人員でもそこそこの成績は維持できるのですが、やはり無理は長続きしません。営業マンたちは次第に精神的にも肉体的にも追い詰められ、目先の結果ばかりに目が行き雑な仕事や強引な仕事をするケースが増えていきます。

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    本連載は、2016年10月28日刊行の書籍『見込みゼロ客をヘビーリピーターに変えるスゴい営業の仕組み』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法律、税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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    武蔵原 一人

    幻冬舎メディアコンサルティング

    「受注が取れない」「売上も伸びない」「営業マンは辞めていくばかり」――負のサイクルを断ち切り、激化する顧客争奪戦を勝ち抜くカギとなる「見込みのない顧客をリピーターに変える仕組み」づくりを3ステップで徹底解説しま…

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