今回は、年金の一元化で、共済年金の制度に一本化した部分について見ていきます。※本連載では、特定社会保険労務士の三宅明彦氏、三平和男氏、深澤理香氏の共著『年金・医療保険・介護保険のしくみがわかる本〔第2版〕』(法学書院)の中から一部を抜粋し、平成27年に一元化された年金、そして医療保険・介護保険のしくみや手続きの基礎知識を解説します。

年金支給額の端数処理は1円単位に

在職老齢年金の月末退職の停止解除月および退職時改定の時期

厚生年金は月末退職をした場合、翌々月の年金から在職支給停止がなくなりますが、共済年金では月末退職をした場合、翌月の年金から在職支給停止がなくなる制度でした。これを共済年金に揃えましたので、月末退職をした場合には、翌月の年金から在職支給停止がなくなることになりました。また、退職時改定の時期についても同様に共済年金に揃えました。

 

年金支給額の端数処理

厚生年金では年金額は100円単位で算出することになっていましたが、一部の共済年金では1円単位で算出することになっていました。これを共済年金に揃えました。そして、各支給月で出た端数は2月に入金されます。

 

同月内の被保険者期間

厚生年金の資格取得月に資格喪失し、国民年金の資格取得をした場合は、後の国民年金加入期間とし、厚生年金は加入がなかったものとされます。

 

在職老齢年金の月末退職の停止解除月の例

 

★一元化前

3月31日退職・5月分から改定(4月1日が資格喪失日になり、その翌月から改定されるので、4月分までが支給停止の対象)

 

☆一元化後

3月31日退職・4月分から改定(3月31日の退職日の翌月から改定されるので、3月分までが支給停止の対象)

 

退職時改定の時期の例

 

★一元化前

3月31日退職・5月分から改定(4月1日が資格喪失日になり、その翌月から改定)

 

☆一元化後

3月31日退職・4月分から改定(3月31日の退職日の翌月から改定)

 

【図表】

(1)60歳以降70歳未満の期間に同月得喪して、後に国民年金に任意加入していない場合や、60歳未満の期間に同月得喪して、海外へ行き国民年金に任意加入していなかった場合には、被保険者期間として算入し、保険料の還付は行われません。

(2)厚生年金の同月得喪があった月に60歳になる場合は、国民年金の資格を取得しますが、国民年金の期間も算入しないため、厚生年金の資格は算入されず、国民年金の被保険者期間も算入されません。

在職老齢厚生年金の10%配慮措置とは?

昭和12年4月1日生まれ以前の人の在職支給停止

厚生年金では昭和12年4月1日生まれ以前の人の在職支給停止は行われていませんでしたが、共済年金では生年月日に関係なく在職支給停止されていました。これを共済年金に揃えました。

 

一元化後は支給停止調整額が46万円になるために、激変緩和措置として、以下の内容が実施されています。

 

【図表2】

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    本連載は、2016年12月15日刊行の書籍『年金・医療保険・介護保険のしくみがわかる本〔第2版〕』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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