子どもたちの唯一にして最強の武器となる「考える力」

前回は、「考える力」の効果について取り上げました。今回は、考える力が子どもたちの「最強の武器」になる理由について考えていきます。

「考える」ことがクリエイティブの源泉

パソコン用ソフトのWindowsで世界を制覇したMicrosoft社の創業者ビル・ゲイツは、ハーバード大学在学中に起業しました。世界に10億人を超えるユーザーを抱えるソーシャルネットワークサービスFacebookの創業者マーク・ザッカーバーグも、同じくハーバード大学の学生時代に起業しています。世界最大の検索サービスGoogleを立ち上げたラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、スタンフォード大学の博士課程在籍中に検索ビジネスをスタートさせました。

 

今の世の中が、ITつまりインフォメーション・テクノロジーによって成り立っているとしたら、その世界を作り上げているのは、この3社にあとAmazon、Appleなどを加えれば十分でしょう。そして、これらの会社は、すべてアメリカ企業であることに気づきます。

 

何もかもアメリカが優れているとは思いません。ただ、日本では数少ない起業家として成功しているソフトバンクの孫正義氏は、アメリカの学校教育の特長を思考重視だと語っています。孫氏は16歳でアメリカに渡り、アメリカの学校で学びました。そこでは日本とは違い、試験の時に辞書や教科書の持ち込みが許されていたこと、その理由は暗記で解く問題など一問もなく、すべてが考えて解かなければならない問題だったからと思い出を語っています。

 

考えることがクリエイティブの源泉となるのです。自分で考える力のある人とは、自分で問題を立てることのできる人です。すなわち、現時点では表面化していない問題を見つけて、その解決策を考える。これがアイデアの素となります。

 

各家庭に一台ずつパソコンがあれば、人々の暮らしはどんなに便利になるだろう。そう考えたビル・ゲイツは、誰もが可能な限り簡単にパソコンを使えるようにするためのソフト、Windowsを開発しました。爆発的に増えるインターネット上にある情報の中から、自分が欲しい情報だけを効率的に探しだすためには、どうすればよいのか。この疑問がGoogleの開発につながります。

大人も大切にしたい「なぜ?」「どうして?」

ビル・ゲイツもGoogleの創業者たちもみんな、自分で考える力を持っているから、人とは異なるアイデアを思いつくのです。「なぜ?」「どうして?」は、子どもにとってだけ大切なマジックワードではありません。むしろ大人の方が大切にしたいキーワードです。

 

何を見ても常に「なぜ?」「どうして?」と考えているからこそ、さまざまな問題意識が次から次へと湧いてくるのです。問題意識、すなわちアイデアの素です。日本でも最近では、若くして起業する人が増えてきました。おそらくは彼らも、従来の日本人的な発想の枠を超えてものごとを考えられる人たちなのでしょう。そして強い危機意識を持っているのだと思います。

 

なぜなら、バブルの崩壊後、日本の社会は以前のような安定した状況にはないからです。それまでならあり得なかったような、名門企業の倒産が実際に起こったり吸収合併されて会社がなくなってしまう。いわゆる一流企業に入りさえすれば、一生が安泰だなどという神話はもはや過去のものです。

 

良い大学に入り、良い会社に就職することができれば、それで幸せな人生を送ることができる、などとおめでたい考え方をしている若い人は、それほど多くないはずです。むしろ、良い大学に進めるほど賢い若者であれば、結局は自分の力で勝負するしかないことを自覚しているのではないでしょうか。だから、大学在学中でもチャンスと見れば起業する。どこかに就職するとしても、将来の起業を視野に入れて動いている。そんな彼らの、唯一にして最強の武器が「考える力」です。

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連載わが子を東大・京大へ導く「思考教育」

関西教育企画株式会社 灘学習院  学院長

昭和42年に神戸市灘区に学習塾「灘学習院」を開校。開校以来、思考教育に特化した教育を実践している。自分の頭で考える子どもを育てるため独自の「思考教育」を確立。40年以上に及ぶ指導経験と独自のノウハウを蓄積し、現在は教師の研修指導にあたっている。大手学習塾のように受験を目標とした「詰め込み型」「暗記型」ではなく、考える力自体を伸ばす「思考型」の教育法を実践。

著者紹介

東大・京大に合格する 子どもの育て方

東大・京大に合格する 子どもの育て方

江藤 宏

幻冬舎メディアコンサルティング

「うちの子は勉強しているのに成績が上がらない」、「あの子は勉強しているように見えないのにいつも成績がいい」と感じたことはありませんか? 実はわかりやすい授業ほど、子どもの可能性を奪っているとしたら――。 40年にわ…

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