今回は、新規事業のリスクを軽減する「トライアル実践」について見ていきます。※本連載では、OFFICE KOM株式会社代表取締役・収益向上プロデューサー 小室雄次氏の著書『事業に失敗しないための起業家宣言 「顧客ゼロから起業10年で売上高20億円」の起業戦略論』(こう書房)より一部を抜粋し、「地域密着」「顧客満足」「継続的事業」を軸に、太陽光発電事業で売上高20億円を達成した著者の経験に基づき、成功する「起業戦略」を紹介します。

市場ニーズの確実性を自身で体験する

ビジネスプランの立案は、ビジネスアイデアのもとに最終段階の事業計画書まで何度も何度も行きつ戻りつするプロセスである。その中で、重要なことは「実践による練り」である。ビジネスプランは起業するためのもっとも重要なプロセスであるが、この立案期間において実践体験をおこない、市場ニーズの確実性を自分自身が生で体験することが重要である。


例えば、サンエコは練り上げたビジネスプランに基づいて、札幌から車で1時間半ほど距離があるわずか2000人規模の小商圏において太陽光のイベントを実施した。この目的は太陽光の市場ニーズ及び太陽光という商品の認知度を把握することにあった。当時は認知度が低く、自ら電気を創って生活することは夢のような話で、それを理解してくれる人がどれくらいいるかを分析し検証したいと考えた。

 

イベント会場はアパートの屋根に太陽光を設置したその一室だった。サンエコの本格的な創業を4月以降と考え、トライアルマーケティングという位置づけのイベントは2月から3月にかけて週末土日の2日間で2回実施した。認知度の低い商品であるだけに、一度だけでは来場者が少ないと考え、2度実施することとした。また、来場したお客様にはアンケートに記入してもらい、太陽光の認知度や商品の価値の理解度を把握するようにした。そして、あわよくば、契約できればと期待していた。

 

その結果は契約に至ることはなかったが、この小さな商圏において来場者は想定以上にあり、太陽光への認識度がかなり高いことがわかった。また、かなり興味を持って設置してみたいという方に出会うことができた。

ビジネスプランを修正してクオリティを高める

この実践による顧客の生の声は事業開始への勇気となった。また、課題もたくさん見つかった。その一つが、太陽光は超高額な商品であるだけに購入の際の支払い方法を複数準備し、その方に最適なプランを選択させることが意思決定に有効的と感じた。これらの情報は実践してみないとわからないことであり、そこから得られた情報をもとに、ビジネスプランを修正していくことでクオリティを高めることができた。これが、事業を失敗しないための基盤となったトライアル実践だった。

 

起業家は事業に失敗せず、継続することが目的である。そのためには、本格的な事業を展開する前に、トライアルベースで実践してみることである。それによる顧客の生の声はビジネスプランを立案してきた段階で気づかなかったことが明確に見え、そこで修正できることは起業のリスクを軽減することができる。

 

そのうえで、ビジネスプランのクオリティが低ければ、計画していた創業時期を変更することも選択肢である。事業を失敗しないためにはビジネスプランの完成度を上げることである。ただし、その完成度が高いといっても事業はやってみないとわからないのも現実である。だからこそ、トライアル実践が最高の学校である。

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    本連載は、2017年2月4日刊行の書籍『事業に失敗しないための起業家宣言 「顧客ゼロから起業10年で売上高20億円」の起業戦略論』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

    事業に失敗しないための 起業家宣言

    事業に失敗しないための 起業家宣言

    小室 雄次

    こう書房

    器づくりだけの起業プロセス・ノウハウではなく、実践から導き出した解決策とモチベーションの起業バイブル! 著者が起業したサンエコが太陽光事業に成功した秘訣は、「地域密着」「顧客満足」「継続的事業」。山あり谷ありの…

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