今回は、住宅建築のトラブルを引き寄せる「人まかせ」な姿勢の問題点を見ていきます。※本連載は、NPO法人ハウジングネットコンシェルジュの代表理事である佐々木孝氏の著書、『誰も教えてくれないマイホーム建築の罠』(太陽出版)の中から一部を抜粋し、住宅業界に横行する「悪習」を明らかにし、住宅を建設する側として押さえておきたい対処術をご紹介します。

「タダですべてを解決してくれるひとを紹介して」

ある日、私はこんなメールを受け取りました。そのメールには名前さえもありませんでした。

 

「欠陥住宅を建てられて困っています。すべてを解決してくれるひとを紹介してください。もちろんお金は1円も払いたくありません」

 

できることなら無料でなんとかしたい、という気持ちはわかりますが、このメールには「残念ながら、そうしたひとは存じ上げません」とお断りの返信をさせていただきました。

 

強盗の被害を受けたら逮捕してもらうのにお金はかかりませんし、交通事故でケガをしたら救急車は無料で来てくれます。だから欠陥住宅になっても、誰かがなんとかしてくれると思うのでしょうか。

 

しかし住宅は民事上の問題で、警察は介入できません。業者が対応してくれない場合、無料で簡単に解決できる仕組みなどないのです。このように「何かあっても無料で簡単に解決できるだろう」という意識が、結局のところ欠陥住宅を建てられてしまうというトラブルに結びつくのだと思わざるを得ません。

消費税が安いうちにと、見積書も図面もなしで契約

平成26年10月から消費税が、それまでの5%から8%にアップしました。これにより、高額な商品の駆け込み需要がニュースでも大きく取り上げられました。

 

ちょうどこの時期、9月末までに契約をした物件は消費税が5%で済むと営業マンに勧められ、見積書も図面もなしに契約をしてしまったひとが、そのあと不安になって相談に来られました。言わずもがなこの契約は、とてつもなく大きなリスクを負っています。それは白紙委任状にサインをして渡したようなものだからです。

 

「なぜこんな状態で契約をしたのですか?」と尋ねると、「今契約しないと消費費税が3%上がるし・・・。会社も信頼できそうだったので」との答え。このひとは、この手の契約がいかに危険かを認識していませんでした。

 

あとで「あれが足りない、これはいらない」と言っても通用しませんし、納得がいかない金額になっても契約した以上は支払い義務が生じます。

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